介護のハウツー
2016年11月09日
ベッドから車椅子への移乗介助のコツ!介護士が知りたい安全で正しい方法
からだの機能の低下した高齢者にとって歩くことはからだの機能を維持する上でも欠かせない動作なのですが、足腰が弱ってくれば歩くことはおろかベッドから立ち上がることも困難になることはごく自然なことです。
そんな時、体を移動する手段として車椅子はとても重要なアイテムですが、体の自由が利かなくなった利用者をベッドから車椅子へと移乗させるときには利用者本人と介護者双方の負担をなるべく減らすためにはちょっとしたコツが必要です。
利用者と介助者それぞれの安全を考慮し、なるべくどちらにとっても体に負担のかからない方法を心がけるようにします。
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車椅子を設置する位置
まずは車椅子をからだの移動距離が最短で済むようにするために、ベッドの脇に20度から30度ほどの角度を付けて設置します。こうすることでベッドと車椅子との隙間が少なくなり、ベッドから遠いほうのアームレストに利用者本人が捕まりやすくなります。
また、体のどちらかに麻痺がある人の場合、車椅子を麻痺のないほうのベッドの脇に設置するようにします。こうすることで利用者が力がはいるほうの手でアームレストをつかむことが出来ます。
ベッドから車椅子へと移乗する為の手順
まずは利用者をベッドの端に腰掛けた状態にして、お尻の部分を少しずつずらしながら前に移動して、足を下ろし浅く腰掛けた形にして車椅子を近づけ、フットレストが上がりブレーキがかかっていることを確認します。
次に利用者の腕を介護者の肩にかけてつかまらせ、前かがみの姿勢から立ち上がってもらいます。介護者はひざを曲げて腰を低くしながら本人の背中に腕を回し利用者がバランスを崩さないように気をつけながらゆっくり体の方向を変えます。このとき利用者の足を少しずつ動かしてもらい、無理のない状態で方向転換することが大切です。
車椅子の前に立った状態になったら、利用者と車椅子との間に隙間がないことを確認し、利用者に車椅子のアームレストをつかんでもらいながら十分に前傾姿勢になって車椅子にゆっくりと座らせるようにします。このとき、介護者は足を大きく開いてひざをたっぷりと曲げ、姿勢を低くして介助するようにします。
そして利用者の足をフットレストにおいてから、後方へと回ってお尻を後ろへとずらして深く座らせるようにします。自力で深く腰掛けられない人に対しては体を少し前かがみにしてもらうとお尻が少しだけ浮くので、後方から腰に手を回すようにして両手で後ろに引いて車椅子にしっかりと座らせるようにします。
利用者の体を移動させる際に予想される危険を知る
利用者のからだの機能がどの程度かによっても異なりますが、ベッドから立ち上がらせる際に、前方あるいは後方へと転倒してしまう危険性があるので、バランスを崩さないようにしっかりと体を支え、あくまでもゆっくりと移動させることが大切です。
また、片麻痺のある利用者の場合、力がはいるほうの手で介助者の肩をつかんでもらうのですが、両手が使える人よりもバランスを崩しやすいため、より慎重に方向転換するようにします。
体を回転させるときには、介護者は軸になる足を上手に使って回転させるようにします。また、利用者が座ったり立ち上がったりといった体勢の変化によってめまいなどの体の変化がないかを観察することも重要です。
介護者の体、特に腰にかかる負担はとても大きくなるため、腰を痛める原因にもなりやすい作業のため、腰だけに負担をかけすぎないように体全体を使うように心がけるのがポイントです。
そのためにひざを曲げ腰だけでなく足の力もしっかりと効かせることで腰にかかる負担を減らすことが出来ます。体を移動させるに当たっては利用者にその都度きちんと声をかけ、介護する側とされる側双方が息を合わせて安全に行うようにすることが何よりも大切です。