1. HOME
  2. 認知症

認知症

認知症とは

認知症

「認知症」をとり巻く環境は、ここ数年のうちに大きく変わってきました。高齢化が深刻化する日本では、認知症患者とその家族の問題がたびたび話題に上がることともあり、多くの人がある程度の知識や危機感を持っていると思います。日本における高齢者(65歳)の認知症の割合は8~10%ほどと推測されていますが、過去長い間、認知症は悪化の一途をたどる絶望的な病気として考えられていました。しかし、医療の発展によって、認知症も原因次第では治療可能であり、諦めなくてもいい病気だということがわかってきています。いずれにせよ、早期発見・早期治療が重要となりますから、あらかじめ正しい知識を身につけておくことは、非常に有効なことではないでしょうか。ここでは認知症の原因や症状、治療法などさまざまな情報を分かりやすく解説しています。自分や家族の将来のためにも、ぜひ読んで知識を深めてほしいと思います。

認知症とは

人間のあらゆる活動の司令塔である脳の機能が低下することで、身体活動だけでなく精神活動もうまくできなくなるのが認知症です。後天的に生じる知能障害である認知症になると、これまでできていた活動が難しくなる症状(中核症状)だけでなく、中核症状と本来の性格や環境によって出てくる周辺症状が出てきます。よく「認知症」と「痴呆症」の違いが問われますが、この2つに症状の違いはありません。ただ、痴呆症については、2004年に厚生労働省により差別的であるということから「認知症」に統一された経緯があります。また「認知症」と「アルツハイマー病」が同一視されやすいのですが、正確にはアルツハイマー病(アルツハイマー型認知症)は認知症の一種であり、同義語ではないのです。

認知症の種類

認知症は、脳内の認知機能が何かしらの原因で障害を受けることで社会的な生活が難しくなってしまう病気の総称です。認知症の中でも代表的な症状が「アルツハイマー型認知症」で、認知症患者のほとんどがこの症状に属しています。他に「脳血管性認知症」や「レビー小体型認知症」「前頭側頭型認知症(FTD)」などさまざまな症状がありますが、近年では「若年性認知症」を題材にした映画などが話題となったこともあり、患者数としてはそこまで多くありませんが知名度が上がっているようです。

認知症の種類と特徴が分かる

認知症の原因

認知症の種類によって原因が異なってきますが、ほとんどの認知症性疾患については原因が明確になっていません。ただし、認知症のうち20%の割合を占めている「脳血管性認知症」は脳梗塞や脳出血といった脳血管障害によって起こる症状ですから、原因がわかりやすい認知症性疾患と言えるでしょう。最も割合の多い「アルツハイマー型認知症」についても、研究が進められているものの、はっきりとした原因はわかっていないのが現状です。今後さらに研究が進められれば、原因もわかってくるはずですし、原因がわかれば予防や改善方法も導けるのではないでしょうか。

認知症の初期症状

認知症は早期発見・早期治療が非常に重要になってくる病気ですから、初期症状を見逃さないようにしておくことが大切です。家族が見ていて「ちょっと変だな?」と感じることがあれば、専門の医療機関を受診することをおすすめします。例えば同じ話を何度もする、忘れ物が多くなる、整理整頓ができなくなる、興味があったものに関心がなくなる、怒りっぽくなるといった些細なことが認知症の初期症状ということも少なくありません。もし、離れて一人暮らしをしている高齢者が身内にいる場合も定期的に連絡を取っておくことが早期発見につながることでしょう。

認知症の主な症状

認知症と言っても、人によって症状はさまざまです。記憶障害、見当障害、失語などの中核症状は誰でも現れる症状ですが、抑うつや無気力、妄想、幻覚、徘徊といった周辺症状は、もともとの性格や環境に起因するものなので、人によって症状も現れ方も異なります。周辺症状については家族や介護する人の対応や、薬物治療によって改善することもあると言われています。

認知症の検査・診断

認知症にもさまざまな種類がありますし、症状も進行スピードも人によって異なるため、認知症を専門とする病院などの医療機関で的確な診断を受けることがその後の治療効果にも大きく関わってくるのです。検査では受診のきっかけや気になる症状、既往歴や服薬といった問診に加え、知能テストや脳機能テストなどが行われます。併せてCT検査やMRI検査など複数の検査を組み合わせることで、認知症かどうかを診断するのです。

認知症の治療や薬

認知症の治療は、薬物治療とリハビリテ―ションがメインとなります。ちなみに認知症治療薬は現時点でアルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症に効くとされるものしかありません。周辺症状として重度の徘徊やうつ症状がある場合などは抗精神病薬、抗不安薬などが処方される場合もあります。リハビリテーションは脳機能の低下抑制と脳機能活性化が中心となり、計算や音楽療法などさまざまな方法が採用されています。専門機関での治療に加え、家族や介護をする人の適切な対応も症状悪化を抑えると考えられているため、周りの人たちも最適な対応を身につけることが、認知症治療には非常に有効となるのです。

認知症の対応について

認知症は、患者の周囲にいる人にもさまざまな負担がのしかかってきます。これまで当たり前にできていたことができなくなるだけでなく、症状が悪化してくると徘徊、暴言、暴力、妄想といった異常行動や精神症状も出てきますので、それを全て抱え込むというのは非常に難しいことになります。現在では「もの忘れ外来」などの専門外来や、認知症介護の相談ができる専門機関もありますし、認知症で利用できる介護保険制度もあります。また、認知症を専門とする老人ホームや介護施設もあるので、頑張り過ぎず困ったら相談するというスタンスで認知症患者の対応や介護にあたることが大切だと心得ておきましょう。