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認知症

認知症の種類と特徴が分かる

認知症患者と介護士

認知症は、人間の脳機能が低下することによって認知機能に障害が出る症状の総称です。認知症の中でも一番多いとされているのが「アルツハイマー型認知症」ですが、それ以外にも発症原因によっていくつか種類があるのです。どの種類の認知症かによって症状の特徴なども異なってきますが、いずれの場合も早期発見・早期治療が重要になってきます。

アルツハイマー型認知症

上でも触れたように、アルツハイマー型認知症は認知症の中で最も多い症状で、男性より女性に多いと言われています。認知症全体に対する割合は約55%と半数以上となっていますが、年々増加傾向にあると言われているため、今後、この割合が増えてくる可能性があるでしょう。一般的に認知症の症状として良く知られている記憶力や判断力の低下、日付がわからなくなったり自分がいる場所がわからなくなる見当識障害などがありますが、アルツハイマー型認知症の症状が進行するのを抑える治療薬が登場するなど、治療法についても進歩しつつあります。

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症はアルツハイマー型認知症の次に多いとされている症状で、全体の約18%ほどを占めています。この症状は男性が発症することが多く、男性患者は女性の2倍ほどと言われているようです。神経細胞に作られるタンパク質であるレビー小体が脳の重要な部位に集中してしまうことによって、神経細胞が破壊されることで認知症の症状が出ます。初期の段階では物忘れのような症状よりも幻視(実際にはないものが見える)の方が多く見られるのが特徴のひとつです。

脳血管性認知症

脳血管性認知症もアルツハイマー型認知症の次に多い症状で、割合はレビー小体型認知症と同じくらいです。これは脳血管性認知症という名称からも察っすることができますが、脳出血や脳梗塞、クモ膜下出血といった脳血管の病気で脳内の神経細胞が死んでしまうことによって、認知症の症状が出るケースを言います。こちらも男性の発症率の方が高いとされていて、上下、前後が認識できなかったり、物を認識していてもうまく言葉として出せなかったりする症状が多く、また集中力散漫などの症状もあります。

前頭側頭型認知症

前頭側頭型認知症(Frontotemporal lobe dementia=FTD)は、患者の多くが65歳未満で発症する若年性認知症ということが特徴ですが、全体に対する割合はそれほど多くありません。物を考える前頭や、言葉の理解や記憶に関わる側頭葉の委縮によって発症する認知症で、ピック病、前頭葉変性症、運動ニューロン疾患型が含まれます。万引きや痴漢といった反社会的行動が見られることもある認知症ですが、未だ解明されていない点も多く、有効な薬などもありません。

若年性認知症

最近、テレビなどで取り上げられることも多くなってきた若年性認知症は、64歳以下で発症する認知症の総称です。発症年齢は約51歳と言われており、こちらも女性より男性の発症が多くなっています。アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症が圧倒数ですが、他にも前頭側頭型認知症やレビー小体型認知症の場合もあり、初期症状としては記憶障害や見当識障害、また同時に2つ以上のことを考えることができなくなるといったものがありますが、年齢が若いことで診断まで時間がかかってしまうこともあるのです。

アルコール性認知症

アルコールの大量摂取によって起こる脳梗塞や脳出血などの脳血管障害、栄養障害が原因の認知症がアルコール性認知症で、アルコール依存症患者にも多く見られます。症状にはアルコール依存症同様に歩行困難や記憶障害などがあり、行動に抑制が効かず他人のものを盗るといった問題行動が出ることもあります。アルコール性認知症は断酒することによって改善するケースもありますが、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症と併発している場合、改善は難しいと考えられています。

正常圧水頭症

正常圧水頭症(Normal-pressure hydrocephalus=NPH)は、脳脊髄液が頭の中に溜まってしまう「水頭症」によって発症する認知症です。正常な人であれば日々作られる脳脊髄液は頭の中を循環したのち自然に吸収されていきますが、脳脊髄液が溜まってしまうと脳圧が上がる場合もあるのですが、脳圧が上がらないタイプを正常圧水頭症と言います。初期には歩行障害や、それによる転倒が起こることが多いのですが、特徴ある歩行になるため、早期発見しやすいとも言われています。

まだら認知症

まだら認知症は認知症の種類を指しているのではなく、脳血管性認知症の症状を指しています。例えば、前日は会話ができていたのに、その翌日はボーっとして会話ができない状態になっているなど、同じことであっても「できるとき」「できないとき」があり、それを繰り返す症状で、日によって変わることもあれば1日のうちで状態が変わることもあります。これは脳の血流状態によるもので、血流がスムーズなときにはできていても、血流が悪くなった途端にできなくなってしまうのです。

認知症の種類まとめ

ご紹介した認知症の他にも、少数ではありますが「皮質基底核変性症」「クロイツフェルド・ヤコブ病」「進行性核上性麻痺」「脳脊髄液循環障害」といった認知症もあります。どんな種類の認知症なのかによって、症状も違いますし最適な治療や対応も異なってきますので、早い段階で専門医による検査や診断を受ける必要があるでしょう。