介護のハウツー
2016年09月17日
施設で孤立している利用者への介護士の対応は?周りと馴染めない人の対処法
集団の中にはいると中々周りの人とうまく人間関係を築けない人というのはどんな場所でもいます。でも、周りと何とか上手くやっていくことが出来ない高齢者と言うのは、やはりそれなりに理由があり、本人にとってはどうしても譲れない理由だったりすることもあります。
無理強いをするのではなく、その人がどうすれば施設の中で孤立せずにすごすことが出来るのか、とても大変なことですが一人一人のケースをよく観察して接することも介護士の大切な仕事のひとつです。
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施設の中で周りの利用者となじめない人の特徴
今まで家で過ごしていた人が見ず知らずの高齢者が集まる施設で時間を過ごすようになれば、誰でも最初は戸惑いを感じるものです。人見知りで、内気な性格の人は自分から他の利用者に話しかけたりといったことはあまり得意ではないかもしれません。いつも他の利用者の輪の中に入れずにいることもあります。
また、自分はこんな施設にはいる人間ではないという感覚の人も、周りからは疎まれることに繋がる可能性の高い人です。特に現役時代にそれなりの地位についていた人の場合、性格にもよりますが、周りの利用者に対する態度もどこか高圧的になりがちでわがままにも見えてしまうため、他の利用者から敬遠されてしまうというものです。
孤立してしまうと、周囲の人との会話もあまりなくなり、そのまま放置すると認知症などに繋がる可能性もあるので、日ごろ身の回りの生活にかかわっている介護士が介入する必要があります。
本人が施設への入居を拒んでいる場合
介護はどこの家庭でも介護する側に大きな負担をかけることに繋がります。性格やその人の体の症状によって異なりますが、いずれにしても家族にとって介護はいつまで続くかわからない。
とても気力と体力を奪われる仕事です。しかし、施設の入居に際して本人がどうしても入居を拒んでいる状態で入居してくるというケースも少なくありません。そうしたときに対応が適切ではないと、いつまでも周りの人と上手く溶け込むことが出来ない状態に繋がることもあります。
もちろんそうしたケースの場合いきなり入所させるのではなく、ショートステイや体験入居などを利用して施設に少しずつなれてゆくことで解決することもあります。こうした場合には家族にも協力を仰ぎ、なるべく頻繁に訪問してもらったりして、本人を家族も大切に思っているということが伝わるようにしてもらうことで解決する場合もあります。
入居後に介護士が配慮することは家族と協力して本人を安心させてあげられるように時間をかけて対応することだといえます。
本人を安心させることが何よりも大切
自分はもう要らない人間なのかと言う不安は施設をはじめて訪れる高齢者の多くが抱えています。実際に家族はほとんど訪問することがなく、施設に預けっぱなしと言う人もいるのですが、本人がここが自分の居場所で、ここなら安心できると心から思えるようになれば、周囲の人とも少しずつ打ち解けていけることでしょう。
時には昔自分がどれだけ活躍したかといった自慢話をしたがることもあるでしょう。同じ話を何度も何度も聴かされるかもしれないのですが、そうした話に耳を傾けることも介護士の大切な役割のひとつです。また、あまりにもわがままで高圧的な態度ばかりを取られると、どうしても周りの入居者者からは敬遠されがちになります。
そして孤立している人の中には、常に誰かとトラブルを起こして言い争ったりすることで、自分の存在感を高めようとする困った人もいます。こうしたタイプの人にこそ自分の話を聞いてくれる人が必要です。認知症状が見られる人の中には、自分がまだかつてのように仕事をしていると思っている人もおり、ある施設では介護士自身がその人の部下の役割を演じることでその利用者が周りとトラブルを起こすことが激減したというケースもあります。
利用者を安心させるといっても、入居者それぞれに違う性格やこれまでの人生があるように、その人に適した接し方も千差万別です。それでも自分を理解して話を聴いてくれる介護士がそばにいると誰もが安心感を感じ、トラブルも減って行きやすいものです。