介護のハウツー
2016年09月15日
介護士が心がけたい失語症や言語障害のある利用者とのコミュニケーション方法
介護の現場では、利用者と介護する側のコミュニケーションが大切となってきます。ですが、失語症や言語障害を持っている方とのコミュニケーションは難しく、色々な工夫が必要となってきます。
失語症・言語障害のある利用者とはどのようにコミュニケーションするのがいいのでしょうか。少しでもスムーズにコミュニケーションができるポイントをまとめました。
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失語症・言語障害になる原因
失語症や言語障害をお持ちの方々は、その多くが脳卒中など何らかの理由によって脳にダメージを受けたことがあり、その後遺症として症状があらわれています。そのため、言葉を理解する・言葉を正しく使うといったことがうまくできない状態になっています。
また、介護士が言ったり書いたりした言葉をうまく理解できなかったり、自分が言いたいことをうまく伝えられなかったりするため、コミュニケーションを取るのが難しく感じる場面が多く見られます。
失語症・言語障害の主な症状は?
失語症・言語障害には色々なパターンがあります。どのようなパターンがあるのかを知り、相手がどのタイプに当てはまるのかを知ることから始めてみましょう・
運動性失語
相手が言っていることや、紙などに書かれていることは理解できますが、自分から話したり書いたりすることが難しい状態です。
感覚性失語
自分から話すことはできますが、相手の言っていることが理解することができない状態です。
構音障害
脳卒中などの後遺症により麻痺が出てしまった場合、麻痺によって上手に唇や舌が動かせなくなってしまいます。そのため、話す言葉が分かりづらくなってしまいます。
言語障害
話すことが全くできず、聞いたことの理解も困難な状態です。合わせて、読み書きにも困難を感じます。
健忘症
ものの名前や人の名前を思い出せなくなる状態です。
失語症・言語障害のタイプ別コミュニケーション方法
失語症・言語障害のタイプが分かったら、それぞれどのようにコミュニケーションを取るのがいいのかを知りましょう。
運動性失語
運動性失語の方に対しては、「YES」か「NO」で答えることができるような質問をすることを心がけましょう。普段の生活で利用者の方をよく観察していると、どんなことを望んでいるのかが分かるようになってきます。利用者の方の言いたい・したいというタイミングを見計らって、「○○しましょうか」などの声かけをするようにしましょう。
感覚性失語
写真や絵・文字など「見て分かるもの」を活用するようにしてみましょう。分かりやすいジェスチャーもコミュニケーションに有効です。話すことが流暢であっても、言っていることと実際に思っていることが違っている場合がありますので、注意が必要です。
構音障害
構音障害の方は、言葉の理解・発信には問題がありません。ですが、発音がうまくできないために相手に伝わらない、ということが多くあります。焦らずにゆっくりと相手の言葉を聞くようにし、相手の言葉を繰り返してみるようにしましょう。筆談や五十音表の活用も有効です。
言語障害
言葉ではなく、文字や絵を書いたカードなどを使った「非言語のコミュニケーション」をしてみましょう。
健忘症
利用者の方が思い出せない言葉やものを推測して、思いだせるきっかけとなるような言葉をかけるようにしましょう。
失語症・言語障害の方とコミュニケーションをとるためのポイント
利用者さんの言っていることが理解できない場合、何度も聞き返してしますことがあると思います。ですが、それを繰り返しているとお互いが気まずくなってしまうことも多々あります。
利用者さんのことを普段からよく観察し、理解できるように心がけましょう。
また、利用者さんが話している時にはきちんと最後まで話を聞くようにすることも大切です。途中で話を遮ってしまったり、代弁するように言い換えたりすることはあまり良いことではありません。