介護のハウツー
2016年12月16日
ユマニチュードってなに?介護士が知っておきたい認知症介護のケア方法をチェック
高齢になった家族があるときから認知機能が低下して、これまでとは別人のような振る舞いをするようになると、普段身の回りの世話をしている周囲の人間はどうやって接すればいいのかと途方にくれてしまうものです。これまで穏やかで優しかった人が信じられないくらい凶暴になって、暴言や暴力を繰り返すようになることもあります。
認知症を患った本人と上手くコミュニケーションが取れないことは、介護をする側にとってはもちろん、本人にとっても大きなストレスになり、実際にどうやって接すればよいのかわからないと悩みを抱えてしまいがちです。そんな悩みを解決するための認知症ケアの方法のひとつ、それがユマニチュードです。
ユマニチュードが魔法の認知症ケアといわれる理由
フランスが発祥の認知症の患者のためのケア方法のユマニチュードは、新聞やテレビなどの媒体で取り上げられたこともあり、現在認知症の人とのかかわり方を模索する中で多くの人々から注目を集めています。認知機能が低下した人とのコミュニケーションをとることはけして簡単なことではなく、いくら相手が認知症を患っていると理解していても、介護する側の人間にとっても大きなストレスとなってしまいがちです。
きちんとコミュニケーションを取れないことから患者本人も時に介護者に対して暴言を浴びせたり暴力的な行為を繰り返したりすることもあります。ところがユマニチュードを実践することで認知症の患者が抱える不安や恐怖をやわらげると、うそのようにスムーズにコミュニケーションが取れるようになることから、魔法の認知症ケアと呼ばれるようになったものです。
認知症患者とのコミュニケーションが円滑に取れるようになる
これまで普通に話せてこちらの言うことを理解してくれていた人が人によってはまるで人格が変わったようになってしまうため、介護する側は戸惑いを感じてしまうのも無理のないことです。それは介護士であっても家族であっても同じですが、ケアをされる本人と一人の人間として向き合うケアをすることでスムーズに意思の疎通ができるようになります。
何を言っているのかわからない、突然とんでもない行動をするなど、認知症を患った本人の行動に悩まされるあまり、行動を制限したり言葉で静止したりすることを繰り返していると、つい命令的な言葉遣いや行動になってしまい、そのことが本人の尊厳を傷つけてな行さらに極端な動へと走らせてしまうことにも繋がります。
ユマニチュードの技術を取り入れることで患者本人が抱えている不安や恐怖心を取り除いてケアする側との信頼関係を築くことが出来れば、ほとんど表情のなかった本人に笑顔が戻り、暴言や暴力も減ってきます。そして時に介護者に対して感謝の言葉を述べるなど、ユマニチュードを実践する前には考えられなかったような大きな変化が訪れることもあります。
ユマニチュードの基本と実践方法
自分はほかの人とおなじ価値のある人間で、介護者に大切にされていると感じることで本人に大きな変化が現れるのがユマニチュードを取り入れることの効果です。基本的なことは本人の目線の高さや少し下から視線を合わせて見る、穏やかな声のトーンで話しかける、優しく包み込むように触れる、なるべく立つ機会を持つようにするということです。
この4つの基本を日常的な介護の中に取り入れるのがユマニチュードの具体的なやり方なのですが、実践するに当たってはただやり方をまねするだけでなく、それらの行為の持つ意味を理解し、接するときには乱暴に行わない、本人の意思を無視して無理に押し付けるようなやり方はしないといったことに注意する必要があります。本質的な考え方を理解して認知症の人との接し方に取り入れてこそ、初めて認知症の相手と心が通じることに繋がります。