介護のハウツー
2017年02月07日
介護施設で気を付けたい水虫!意外な危険性と感染を予防するための対策方法
高齢者のための介護施設でインフルエンザなどの感染症がニュースになることはあっても、例えばある施設で水虫の感染が広がったという内容がニースで報じられることはまずありません。体力が低下し免疫力も下がっている高齢者にとってインフルエンザなどの感染症は時に命を落とすほど重症化してしまう可能性があることから、施設のほうでも感染症対策にはかなり気を使っています。ただし、水虫は感染しても直接命の危険に結びつくことは考えにくいのですが、体力の低下した高齢者にとっては水虫に感染することが思わぬ危険を招くこともあります。
水虫の種類とその特徴
水虫は足白癬と言う皮膚真菌症の一種で、皮膚の表面の角質のケラチン組織に菌が寄生することで様々な症状を発症するものです。水虫と聞いて頭に浮かぶのは指の間などに出来るじゅくじゅくとしたふやけたような趾間型や、小さい水疱のようなものが出来る水疱型などが多く、これらの種類は比較的若い年代によく見られるタイプです。
そしてこれらは痒みの自覚症状があり、どちらも抗真菌剤を塗ることで治るのですが、外用薬を使用するときには確かな診断が必要で、もしも白癬菌以外が原因の場合に抗真菌薬を使用すると、かえって症状が悪化する事も考えられます。そしてもう1つ角質型の水虫は高齢者に多く見られる種類で、かかとなどの足裏が角化するのがその症状で、とくにかゆみなどの自覚症状はありません
高齢者に多いタイプと感染の原因
高齢者に多い角質型の水虫は一般的な水虫のイメージとは違い足の裏の病変が角化してかゆみなど自分自身が自覚する症状がないため、例えば介護施設などに入居している利用者本人も普段ケアに当たる介護者もとくに治療が必要な水虫だと認識せずに放置してしまう可能性が高いといわれています。そしてこのタイプの水虫は皮膚の角質層の中に保有している菌の数が圧倒的に多いため、感染が拡大してしまいやすいという特徴も持ちます。つまり、見つけにくくて保菌数が多いということなので、きちんとした対策を取らなければ感染が広がってしまいやすいタイプといえます。
また、爪の部分が白癬菌によって爪水虫になるのも高齢者になるほど罹患者が増える種類の水虫です。爪水虫になると、足の爪が白濁して厚くなる症状が現れ、やがて爪がぼろぼろとした状態に陥ります。高齢になるほど病原菌や雑菌などに対する抵抗力が低下するため、施設などで集団生活を送る高齢者はとくに感染が広がりやすい環境と言うことになります。
高齢者が水虫に感染することのリスク
水虫など命の危険はないと軽く考えがちですが、例えば高齢者が爪水虫になることで爪がぼろぼろになってくると、歩くときに転倒などの危険性が高くなるといわれています。歩くときに人間は足の指を使ってバランスを保つことが欠かせないのですが、そのバランスを調整するのが足の爪なので、爪水虫によって足の爪がぼろぼろと欠損してきたりすると、歩くときに爪でバランスを調整するということが出来にくくなり転倒しやすくなってしまうことが考えられます。
そして高齢者が転倒するリスクが高まれば、骨折などの大きな怪我に繋がりやすく、そこから寝たきり状態になってしまうことも十分に考えられます。とくに爪水虫は塗り薬では治すことが出来ず、薬を服用することが必要です。出来るだけ早く病院で治療することが感染を予防するためにも本人に怪我をさせないためにもとても重要です。
施設での水虫の感染予防対策のポイント
感染が拡大しやすい施設では入浴時に足拭きマットを共有せず、個人が体を拭いたタオルで最後に足まで拭くようにすることが効果的です。浴室や脱衣場をいつも清潔にしておくことに加え、スリッパや履物も個人のものを使うようにして共有しないことが感染予防のための大切なポイントです。