介護のハウツー
2016年08月18日
介護士が活用したいボディメカニクス!最小限の力で腰の負担を減らすコツ
介護をしていると、腰痛や腱鞘炎など、体を傷めてしまう人も多いのではないでしょうか?そんな体への負担の多い介護のお仕事をするにあたって、忘れてはならないのがボディメカニクスです。
目次
- 1 ボディメカニクスとは
- 2
ボディメカニクスのポイント
- 2.1 支持基底面積を広くする
- 2.2 重心を低くする
- 2.3 対象物(利用者の体)をできるだけ近くに
- 2.4 対象物(利用者の体)を小さくまとめる
- 2.5 水平移動を心がける
- 2.6 てこの原理を使う
- 2.7 大きな筋肉を使う
- 3 まとめ
ボディメカニクスとは
ボディメカニクスとは、体の動きのメカニズムを活用する技術のことです。人間の運動機能は、骨や関節・筋肉などの相互関係で成り立っています。この機能をよりスムーズに負担なく行うために、体のそれぞれの身体力学を利用するのが、このボディメカニクスです。介護の世界では、移乗やおむつ交換・入浴介助など、毎日たくさんの人の体を動かします。これらの作業は、体にかなりの負担がかかるもので、腰痛や腱鞘炎などに悩まされている介護士も少なくありません。ボディメカニクスを活用することで、これらの業務の負担がかなり解消されるため、介護に携わるなら知っておきたい知恵のひとつといえます。
ボディメカニクスのポイント
支持基底面積を広くする
支持基底面積とは、何かを持ったり支えたりする際の底の面積のことです。これは、持ち上げる際の土台となる部分をできるだけ広く大きくすることで、バランスがとりやすく力も入りやすいというものです。人が立ち上がるときも、この支持基底面積が関連しており、両足を足の裏をしっかりとつけ、足を大きく開いていた方が安定します。移乗などの際に介護士の体を支持基底面積と考え、これを広くすることで、体への負担が少なくなります。
重心を低くする
重心を低くすることで、安定して持ち上げることができます。重心が高いと、よろめきやすく不安定な状態になってしまいます。移乗の際にもできるだけ重心を低くすることで、安定した状態で介助をすることができます。
対象物(利用者の体)をできるだけ近くに
対象物を自分の体の近くによせて持ち上げることで、力が入りやすく安定します。そのため、移乗の際には利用者に体を密着させた状態で行うと、体が楽になります。
対象物(利用者の体)を小さくまとめる
対象物が大きいと、重さが分散してしまうため負担もそれだけ増えてしまいます。対象物をコンパクトにまとめることで、重みは変わりませんが重力がコンパクトに凝縮されるため、持ち運びがしやすくなります。移乗の際には、利用者にできるだけ体を小さくしてもらうように協力を仰ぎましょう。
水平移動を心がける
わざわざ体を持ち上げるのではなく、滑らせるようにして移動させるのが、この水平移動です。持ち上げて移動させるときには、持ち上げるために上部に加える力と、別の場所に移動させるための前後左右へ加える力が必要になります。水平移動であれば、持ち上げる必要は最小限で良いため、前後左右へのみの力で移動することができます。
てこの原理を使う
動かそうとするものに対して、直接力を入れるのではなく、支点・力点・作用点を意識して動かすことで、移動がとても楽になります。体の特に重い利用者や、力に自信のない介護士も、このてこの原理を活用することで、起き上がらせることがスムーズになります。
大きな筋肉を使う
大きな筋肉を使うことで、力を入れやすく体を痛めることも少なくなります。大きな筋肉とは、大胸筋・腹筋・拝金・大殿筋などのことをさします。上腕などの小さな筋肉を使おうとすると、その筋肉に対する負担が大きすぎて、腱鞘炎などの怪我が起こってしまいます。大きな筋肉を使うことを意識しながら介護を行うだけで、怪我がグンと減ります。
まとめ
移乗などの作業が辛いと感じている人は多いのではないでしょうか?ボディメカニクスを意識して行うことで、介護の仕事を楽にしてくれます。介護は、体にたくさんの負担がかかる仕事です。その負担を軽減することも、介護を続ける上でとても大切なことであるといえます。体が辛いときこそ、ボディメカニクスを意識して業務に取り掛かりましょう。