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認知症の基礎知識

2017年10月20日

認知症と間違いやすい病気や症状と原因!うつ病や仮性認知症、せん妄や妄想、幻覚など

医者と!マーク

認知症にはさまざまな症状がありますので、認知症かどうかの判断をするのが難しいことがありますが、これにはほかの病気と間違えやすいという難点もあります。ほかの病気で挙げられる症状と認知症の症状が被っていることもありますので、一つの症状が認知症に当てはまっていたとしても、すぐさま認知症だと決めつけてしまわないようにすることも大切ですね。

例えば、お酒を飲みすぎた時の吐き気と風邪を引いた時に起きる吐き気では、同じ吐き気でも原因が異なることがあるでしょう。そのため、対処方法も異なります。今回は見分けが難しい、認知症と間違いやすいほかの病気についてスポットを当ててみました。間違いやすい個々の病気の特徴にも注目しながら、認知症かどうかを判断する際のコツを探ってみましょう。

病気の症状を把握して見分ける

認知症と間違いやすい病気との区別では、似たような症状があるそれぞれの病気について詳しく知っておくことが役立ちます。疑わしい個々の病気の症状をできるだけ詳しく把握して、認知症にない症状や個々の病気だけに見られる症状を見つけることがポイントになるでしょう。専門的な知識も必要になり、違いを見つけるのはなかなか難しい部分がありますが、身近な人が認知症かもしれない、という時には、日々の生活を観察することが第一歩になることもあります。

認知症だと思っていて本来の病気の治療ができていないと、本人の辛い状態も長引いてしまうため、本当の原因を素早く見つけることは大切です。反対に、ほかの病気だと思っていたら認知症だった、というケースもありますので、偏った考え方にとらわれず臨機応変に対処していきましょう。

まずは認知症の症状をおさえておこう

認知症かどうかの判断では、まず認知症についてよく知っておくことも大切です。認知症には、中核症状と周辺症状などの分類があり、全体を通して見てみるとさまざまな症状がありますので、整理して覚えていきましょう。中核症状には、忘れ物が多くなる、同じことを何回も行ったり言ったりする、先ほどのことを忘れてしまう、というような記憶障害があり、認知症ではよく知られる症状の一つです。

今どこにいるのかわからない、現在の日付がわからない、何時くらいなのか見当がつかない、知り合いとの関係がわからない、などの置かれている状況を理解できない状態は、見当識障害と呼ばれます。ほかには、目的に向かって行動するなどの一連の流れができない、物事を判断できない、決められないなどの、判断力や実行機能の障害が挙げられるでしょう。

失認・失行・失語というキーワードも出てきますが、これは、だれがどこで何をしているかなどの状況把握がうまくできない、日常生活で行う着替えなどができなくなる、使い慣れた物が使えなくなってしまう、話したり書いたりする時に言葉が出てこない、というようなトラブルです。ほかに、怒りっぽくなるなどの性格の変化も起きることがあるでしょう。

周辺症状は具体的な症状が挙げられますので身近な症状としてイメージしやすいことがあります。うつ、幻覚、徘徊、妄想、暴力・暴言、睡眠障害、食事拒否・過食などが挙げられるでしょう。

認知症と間違いやすい病気の特徴や原因、見分ける時のコツ

認知症の症状は比較的ゆっくり進行する傾向が見られるため、症状が起きたタイミングやスピードなども見分ける時に役立ちます。少し視野を広げて、客観的に今までの様子や現在の症状を確認してみると良いですね。認知症と間違いやすい病気にもいろいろな病気がありますが、まずはよく挙げられている以下の病気から詳しく見てみましょう。

うつ病

認知症の周辺症状にうつが挙げられるように、うつ病は認知症と見分けが難しい病気の一つです。症状としては、気分が沈み込む、物事を決断できない、吐き気や食欲低下などの健康障害、眠れないなどの睡眠障害、疲労感が続く、好きなテレビ番組を見たいなどの欲求がなくなる、落ち着きがなくなる、笑顔が減る、などのいろいろな症状が挙げられるでしょう。

高齢者の場合には、気持ちの沈みよりも体調不良、意欲低下や集中力低下、などの症状が目立つ場合があります。物忘れなどは老化と共に特別なトラブルがなくても起きることがありますが、加えて、物忘れが増えた、という訴えがあることなどが間違いやすい原因の一つです。

見分け方のポイントとしては、誕生日や年齢などの基本的な記憶に問題がなければうつ病の可能性が伺えます。身近で人が亡くなるなどのショッキングな出来事や、ほかの病気を抱えているなどの、うつ状態につながる出来事がないかどうかの確認も参考にしてみましょう。ほかに、攻撃的になるかどうかの違いも見分けるヒントになる時があります。

仮性認知症

うつ病と関連して挙げられる病気に、仮性認知症というものがありますが、これは過度のストレスを受けた時やうつ状態の時に起こることがある、うつ病などが原因で認知症のようになる状態です。近年高齢者の中で目立つ病気の一つとなっています。集中力が低下する、言動に変化が見られる、などの認知症によく似た症状が見られることが間違いやすい原因となるでしょう。

うつ病による自律神経への負担による身体症状も見られることがあり、食欲低下、睡眠障害、頭痛、便秘、肩こりなども挙げられています。記憶障害があるかどうかで見分けられる場合がありますが、うつの治療で改善するケースもありますので、時間経過と共に症状を観察しながら気になる時には早めに病院で診てもらうと良いですね。

せん妄

興奮や幻視などの意識障害が起きる病気で、高齢者の場合には、脱水、肺炎、引越し、などさまざまな原因が挙げられています。服用している薬の影響や便秘などから起きる場合もあるでしょう。

症状は、見当識障害、幻覚、新しいことが覚えられない、情緒不安定、夜になると急に興奮してうろうろ歩き回ったりする、など認知症に似た症状がいくつかあります。

意識レベルの低下など意識障害があればせん妄の可能性がある、などの特徴が挙げられていますので、見分ける際の参考にしてみましょう。そのほか、症状が起きた時期が比較的はっきりしている、などの特徴もあります。

妄想

物を盗まれたなど、実際には起こっていないことを起きたと思い込んでしまう状態で、妄想性障害という病気もあります。合わせて抑うつ状態になる場合もあるでしょう。妄想には被害妄想や嫉妬妄想などの種類もあり、妄想する内容による分類もあります。妄想性障害は妄想が主なトラブルのため、記憶障害があるかどうか、日常生活が1人できているかどうか、などのほかの認知症の症状と照らし合わせて違いを探ってみましょう。

幻覚

実際に目に見えないものが見えてしまうなど、存在しないものの感覚がある状態です。幻視のほか、幻聴や幻臭などの症状もあります。統合失調症などのほかの病気により症状が出る場合もあり、妄想と伴って起こる場合もあるなど複雑な面があるでしょう。

統合失調症にも認知機能の低下があり、レビー小体型認知症の症状では幻覚が特徴的な症状の一つとなっているなどが間違いやすい原因で、認知症との見分けが難しく注意が必要な病気です。

幻覚が見える病気の個々の特徴をおさえてさまざまな視点から見当をつけるなど、見分けるには専門知識が必要になることもあるでしょう。いずれにしても生活に支障が起きる病気のため、病院などで早めに専門家に見てもらうのがおすすめです。