介護のハウツー
2017年01月18日
寝たきりの利用者の着替えの正しい方法とコツ!介護士の更衣介助の注意点とは
体の自由が利かなくなり寝たきり状態になっている利用者の介護に当たるとき、本人の衣服を交換することは清潔な状態を保つというだけでなく、生活の中でメリハリが生まれるといった意味でも効果があります。思うように体を動かすことが出来ずに着替えの際にも介助が必要な状態であったとしても、着替えと言う行為で体を動かすことはリハビリにも繋がるし、何よりもさっぱりとした清潔な衣服になることで、本人が気持ちよくすごせるのが最大のメリットです。けれども寝たきりの利用者への着替えの場合、その人の程度に合わせて負担のないような工夫をする事が求められます。
寝たきりの人にはどんな衣服が向いているか
寝たきりの人というのは、定期的に体位の交換などを行うケアが施されているケースが多いのですが、体位をあまり頻繁に変えることは人によっては大きな負担に繋がる可能性があります。特に衣服の着替えとなれば様々な部分を動かして支えることが必要になるため、できることならそうした利用者が着る衣服には伸縮性に優れた素材で出来たもので頭から被って着たり脱いだりするようなタイプか、あるいはボタンなどで前開きになっているタイプの衣類が向いています。
デザイン性よりも着脱する際に本人の負担になりにくいような伸縮性の高い素材のものを選び、とかく負担を与えがちな衣服の交換を少しでもしやすくすることで、本人はもちろん介護する側の負担を減らすことにも繋がります。
頭から被るタイプの衣服の着替え
被るタイプの衣類を脱がせるときには、利用者を仰向けの状態にして上着の前身ごろを胸あたりまで、次に後ろ身頃を肩甲骨あたりまでたくし上げてから、利用者のひじを曲げて衣服のわきの下の部分を引っ張りながら両腕のひじをはずします。左右両方の腕を脱がせて終わったら、衣服の襟ぐりの部分を両手で大きく広げた状態にして最後に頭を脱がせます。このタイプの衣服を着せるときには衣服の襟ぐりを両手で開いてから頭をまず通して、袖口から手を入れて利用者の手を袖に通し、最後に体を少し浮かせて前後それぞれの身頃を下ろすようにします。
前開きの衣服の着替え
前開きの衣服の場合は、まずはボタンをはずし、利用者の体を横向きにし、上にある方の身頃部分をはずしてから腕を脱がせます。そして同時に新しい衣服を半分着せて袖の中から利用者の手をつかむようにして袖に手を通します。このときに汚れた衣類は下になっている側に押し込むようにしておき、片側の着替えが済んだら利用者を仰向けの状態にして、汚れた衣服を抜き取り、新しい衣服を反対側と同じようにして袖を通し、最後に前のボタンを留めます。
どちらのやり方のときもズボンの着替えをする際には横向きに寝た状態で上側のズボンを出来るだけ引き下げ、仰向けの状態にするか反対側の横向きの状態にしてもう片方を引き下げるようにします。最後に仰向けの状態にして足先を手繰るようにいて脱がせます。ズボンをはかせるときには、同じようにズボンを手繰った状態にして持ち、片側ずつ足首まで通してから太ももまで上げてゆきます。その後、利用者を横向きの体勢にして左右それぞれのズボンを上まで上げるようにします。
寝たきり状態の人に着替えをさせるときに注意したいこと
寝たきりの状態の人は体を自由に動かせない状態のため関節が硬くなっている場合があります。そんなときは無理に体を動かそうとせず、衣類に工夫することで更衣介助がしやすいようにすることが必要です。基本的な更衣介助の仕方はありますが、利用者のからだの状態は人それぞれに異なるものだし、おなじ人でも状態が変化することも考えられるので、利用者のそのときの体の態に合わせた最も負担の少ない更衣介助を心がけることが何よりも大切になります。