介護のハウツー
2017年02月06日
介護で大切な「傾聴」のコツって?共感・受容を心がけるコミュニケーション方法
心にたまったもやもやした気持ちをすっきりさせたいと考えるとき、一番効果的なのが人に話を聞いてもらうことです。でも、そんなときに話を聞いてくれる側の態度によってはさらに悩みがこじれて消化不良のような気分になってしまうこともあります。心に悩みを抱えるとき、本当は話した相手は自分の話に耳を傾けてくれるだけでいいのです。
そんなときに必要以上にアドバイスをしてきたり、話の途中で自分の意見を押し付けてきて、こちらの悩みを否定してしまわれたりすると、ああ、この人に話しても無駄な時間だった…と後悔することになります。人は自分の話を聞いてくれる人が基本的に好きなのです。さらに言うなら自分の話に真摯に耳を傾けてくれる人にこそ心を開くものです。
コミュニケーション力能力は聴く力と話す力
コミュニケーション能力の高い人というと、饒舌で話し上手な人をイメージしてしまいます。でも、講演会なら別ですが、人と一対一でコミュニケーションをとるための能力は話し上手よりも聞き上手であることが求められます。基本的にコミュニケーション能力というのは聞く力と話す力のことで、聞くほうに重点を置くことで相手は心を開いて話してくれるようになり、会話が弾むことに繋がります。
たとえば何かを相談したいと持ちかけられたとき、多くの場合相談者はアドバイスをしてもらいたいのではなく、話を聞いて欲しいだけなことが多いといわれています。だからこそ話を聞く力が高い人は人から好かれるのだといえます。
ただ話を聞くことと傾聴との違い
傾聴と言うのはただ黙って相手の話を聞いているだけではありません。相手に対して無条件の肯定的な関心を持って共感しながら耳を傾けることです。自分の価値判断でアドバイスをしたり、問題解決のための提案をしたりするのではなく、まず相手の話を素直に受け入れつつ聞くことです。
高齢になって体も思うように動かすことが出来なくなり、人と積極的に交流することが減っている高齢者にとって、介護士は自分の身の回りにいてくれる心を許せる存在です。つじつまの合わないことや、認知機能が衰えてかなり昔の自分と今の自分とが見分けがつかなくなっていたり、過去の自慢話を何度もしたがるなど、利用者の話を聞くことは少しばかり根気が必要かもしれませんが、そんなときこそ介護職の聞く力が求められます。
介護職にとっての傾聴のコツ
また始まった…利用者が毎回おなじ話を始めるとついこんな感情がよぎることは介護現場ではよくあることと思います。さらに利用者の中には難聴のために相手の声を上手く聞き取ることが出来ずに会話が上手くいかず孤独感を感じている人もいます。介護職は利用者を傷つけないような受け答えをするよう、言葉選びには気をつけることが求められます。
おなじ話を何度もするような場合でも、必ず肯定してもらえることで、話す側にとっては自分の話を聞いてくれていることが十分に伝わります。認知機能が衰えた人が、介護者をたとえばかつての仕事の部下と勘違いしたりすることもあります。そんなときは無理に否定したりせず、その人になったつもりで受けこたえをしてあげるだけで利用者は安心します。
傾聴によって得られる効果
高齢者でも若い年代でも、自分の話を聞いてもらうことほど気持ちが安定することはありません。まして、様々な機能が老化によって衰えて、自由に体を動かせないだけでなく自分が伝えたいことを上手く伝えにくくなっている高齢者にとっては、誰も自分の話に耳を傾けてくれないことがどんどん孤立を深めて自信をなくさせ、老化が進んでしまうことに繋がります。利用者が話しかけてきたときは、傾聴により相手の話に共感し、ありのまま受け入れ、肯定してあげることが大切です。自分の話をちゃんと聞いてもらえていると感じることで利用者は心が安定し、自信を取り戻すことができます。