介護のハウツー
2016年09月17日
状態理解が重要!介護士が感覚麻痺の利用者を介助する方法と注意点まとめ
人が命を落とす危険にさらされる病のひとつに脳梗塞や脳卒中などがあります。そしてこうした病によって病院に運ばれ幸い命だけはとりとめても、多くの場合その後に体の片麻痺等の感覚麻痺の症状が後遺症として現れます。
もともと人間の脳は、体を自由に動かしたり視る、聴く、といった知覚神経や、考える、学習するといった知性的な部分や感情などをコントロールする役割があります。そのため脳卒中などの脳血管障害を起こすことで、こうした様々な働きが衰えたり半身麻痺などの感覚麻痺を起こすことに繋がるケースが少なくありません。
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高齢者の感覚麻痺の原因と症状
脳血管障害は高齢者だけに起こる病気ではないし、病後に現れる後遺症やその程度も人によって異なります。そして後遺症として体のどちらか半分が感覚障害を起こして感覚麻痺の状態になることで、著しく日常生活に支障が出てしまいます。
失語症や嚥下障害など様々な症状を発祥する可能性があり、運動障害によって歩行が困難になってそのまま寝たきりになったり、排泄障害が起こることも考えられます。脳卒中などの後遺症は多くの場合1つだけの障害ではなく障害が複数現れることが多いのも特徴です。
そして感覚麻痺が起こることで、それまで簡単に出来ていたことが出来なくなると、小さな衝撃でも骨折などに繋がるリスクが高まるだけでなく、思い通りに動かない自分の体に強いストレスを感じ、時に介護者や家族に対して暴言を吐いたりして感情を爆発させることに繋がる場合もあります。
体が感覚麻痺を起こすことによって起こりえること
高齢者が感覚麻痺を起こした状態になると、感覚障害を起こしている側の体に力を入れることが出来なくなるため、麻痺を起こしていない側と比べると筋肉が落ちて痩せてしまい、さらにバランスが悪くなって歩行などがかなり困難になります。
そして、麻痺を起こしているほうの体は痛みを感じにくくなるので、怪我に繋がるような無理な体勢を取っていても気が付かないこともあります。食事や歯磨きといった口を使う動作のときにも上手く口を閉じられずに口の周りからもれてしまったりすることもあります。
一人では立ったり座ったりする基本的な動作をすることはおろか寝返りも打てなくなることもあり、最悪の場合には寝たきりに繋がってしまいます。自分の思い通りにならない体への苛立ちから突然大声で怒鳴り始めたりすることもあり介護する側を悩ませるケースも多いのですが、体が健康な状態だったときには全く想像が出来なかった不便な日常から大きなストレスを抱えている状態が感覚麻痺の人には少なくありません。
感覚麻痺の人の介助で注意したいこと
介護者が注意したいのはそうした感覚麻痺による身体上の障害を持った人の特製をよく理解することです。その気はなくてもいきなり怒鳴ったりする利用者に対して、つい上から目線で接してしまい、利用者を傷つけたり、けんかに繋がってしまうこともあります。
麻痺を起こしているならリハビリすれば回復すると思うかもしれませんが、もともと体力も落ちていた高齢者の場合、リハビリによって完全に回復することは残念ながらあまり望むことは出来ません。感覚麻痺の状態が残った高齢者の場合、麻痺を起こしている側の感覚がないために、本人が痛みを訴えなくても時に骨折などを起こしたり、同じ体勢を長時間とることが多くなるので褥瘡になるリスクが高まります。
そのためオムツを交換したり体位を交換したりするするときには、痛みを訴えることがないために怪我をさせないように十分に注意する必要があります。そして麻痺している人は自分できちんと歯磨きを出来ないことから口腔状態が悪化しやすくなります。筋力が落ちて入れ歯が合わなくなったりもするので、一年に一回程度は口腔検診を受けることも必要です。