介護のハウツー
2016年07月30日
食事介助のコツは?介護士が知っておきたい注意点と食事の配慮
食事は生きていくために必要なことです。特に口から食べるということは、とても大切なことなんです。今回は食事介助の注意点と配慮についてまとめてみました。
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目次
身体能力や食事摂取状況を把握する
どのような介助が必要なのかは、それぞれ違います。身体能力や食事状況などをしっかりと把握し、必要な介助を検討しなければなりません。必要な介助を的確に提供することが、安全な食事介助に繋がります。
食事の前に準備を
食事の時間は、食事に集中できる雰囲気で、ゆっくりと食べてもらうことが大切です。食事前にトイレを済ませ、テレビは消しましょう。本人がリラックスできる音楽を流してもいいですね。食事前に「嚥下リハビリ体操」や「口内ケア」、「口腔マッサージ」をおこなっておくと、嚥下がスムーズになりますよ。
最大のポイントは食事の姿勢
食事の時の姿勢は特に大切です。姿勢が悪いと誤嚥を起こしやすくなります。
座って食べられる場合
座位を保てる人は、椅子や車椅子に座って、テーブルで食事をとるようにしましょう。食事の時間だという意識づけをすることで、食事に集中しやすくなります。
椅子に深く腰を掛けテーブルに肘が乗せられるように椅子を引き寄せるのですが、この時の椅子とテーブルの高さがポイントです。膝が90度に曲がり、足が床にピッタリとつくくらいの椅子の高さ、腕を乗せたときに肘が90度に曲がるくらいのテーブルの高さがベストなんですよ。そして、体が少し前かがみになるぐらいの姿勢が、飲み込みやすい姿勢です。
ベッドまたはリクライニング式の車いすで食べさせる場合
背もたれの角度は45~60度に起こし、頭の後ろにクッションを当てます。このクッションがとても大切なんですよ!クッションを当てることで首が安定し、顎を引いた姿勢になりますので、嚥下がスムーズになります。ベッドの場合は膝を軽く曲げ、ひざ下にクッションを入れます。リクライニング式の車椅子の場合は、膝は90度で足はステップにピッタリつけましょう。
麻痺がある場合
麻痺がある場合は、こうした基本姿勢に加え、健康な側を下にした姿勢を取ります。食べ物は重力によって下側の咽頭に集まるため、麻痺側を下にしてしまうと誤嚥のリスクが上がってしまうのです。健康な側を下にすることで、飲み込みやすくなり、誤嚥のリスクは下がりますよ。
介助者の位置もポイント
介助者が高い位置から食べさせると、食べさせられる人はどうしても上を向きがちです。顎が上がってしまい誤嚥を招く原因となりますので、介助者は本人と同じ高さになるよう座り、横から、もしくは下から食べ物を口に入れましょう。
注意点
本人の食事ペースに合わせ、一度に口に入れすぎないように気を付けなければいけません。量はティースプーンに軽く一杯が適量です。飲み込んだのを確認してから、次の分を口に運びます。吐き気を誘発してしまう可能性がありますので、スプーンを奥まで入れてしまわないようにしましょう。汁物から食べさせると、のどを潤し、嚥下がスムーズにいきます。汁物、主食、副食と交互にバランスよく介助してくださいね。
認知症予防にも効果的
認知症が進むと食べたいという意欲低下し、食欲低下につながります。「おいしいご飯をいただきましょう」「おいしいですね」と声をかけるなど、常に「おいしい」と意識できる働きかけが大切です。おいしく、楽しく食事をすることは、味覚、視覚、嗅覚などを刺激し、脳を活性化させます。
参考:認知症とは
少しずつできることを増やしていくことも大切です。食事のときは指先を使うので脳の活性化にもなりますよ。また、少しずつじぶんで食べられるようになることで、食べる意欲や生きる希望が生まれます。食事介助は波があり、時間もかかるものですが、できる限り大きく構え、気長に行っていってくださいね!