認知症の予防
2017年10月17日
ワクチンや薬で認知症が予防できる?!気になる研究と効果が期待されるものとは
認知症を予防するためには、生活習慣や食生活に気をつけるなど日々の生活の中で健康を意識することが主に進められてきましたね。予防に役立つ食事などの研究も進められ、認知症予防について行えることはさまざまにあるでしょう。ですが、このような生活環境で意識すること以外に、薬を使って予防するのは難しいことがありました。
そんな中、ワクチンや薬で予防や改善をはかる研究が行われ、期待できる報告が注目されています。研究は国境を問わず、アメリカやオーストラリア、日本国内などで進められていますので、詳しい内容に注目してみましょう。
ワクチンや薬が注目される理由
認知症の治療では、進行を遅らせる薬などはあり治療に使われていますが、そもそも認知症にかからないようにしたり、認知症にかかった時に完治したりする方法は困難な面があります。徐々に進行してしまう状態は本人や介護をする側にとって負担になるため、治療の難点となっていました。医学的に予防や改善ができるようになれば、介護環境にも多くのメリットが期待できるでしょう。
期待される効果について
健康な状態で予防接種をすれば認知症にそもそもならないようにする効果が期待でき、脳の検査をしてリスクが疑われる人には予防法を行う、認知症初期段階でワクチンを投与して症状を改善させる、などの工夫も期待できるでしょう。いずれの場合も、今までの方法のように症状の進行を遅らせるだけでなく、健康状態に近付けることが期待できるメリットがあります。
認知症の予防や改善に役立つ研究とは?
研究においては、認知症の種類の中で割合の多いアルツハイマー型認知症の状態に注目した内容が見られますので、認知症の種類も把握しておくとよりわかりやすくなるでしょう。具体的に、予防接種の場合には50歳以上の人というような年齢制限を設けて活用することなども想定されています。
しくみとしては、脳に溜まってしまい認知症の原因となるアミロイドベータやタウと呼ばれるタンパク質に対してワクチンが働きかけ、これらの原因となる物質が溜まらないようにしたり、既に溜まってしまっているものに対して分解を働きかけたりするという方法です。
とはいえ研究段階では、アミロイドベータを減らすことができたのに認知症の症状の改善が見られなかったなどの発表もあり、残念ながら失敗も多く見られることがあります。今後の研究に期待して、最新情報に注目していきましょう。
ほかの病気の薬で認知症にも効果が期待できる?
現在活躍している薬にはさまざまな情報があり、すでに人体にも使われているため、新しく薬を生み出す場合と比べると扱いやすいなどのメリットがあるでしょう。そのため、ほかの病気に役立つ薬の認知症への効果に関する研究も挙げられています。
例えば、脳梗塞の再発を予防する薬がアルツハイマー型認知症にも効果が期待できる、というのもその中の一つです。血管のトラブルなどに働きかける特徴のある「シロスタゾール」と呼ばれる薬で、25年以上の使用実績があることもメリットになっていますが、認知症の進行を遅らせるのではなく抑制する、という働きが期待されています。
ほかには、糖尿病が認知症に与えるデメリットに注目して、血糖値をコントロールするインスリンを認知症の治療に役立てる研究などもあります。こちらは、脳が機能するために糖が栄養になっている、ということにも注目された方法です。
結核やハンセン病に効果が期待でき40年以上前から活用されている薬「リファンピシン」による研究では、マウスの実験で、神経細胞が繋がっている部分であるシナプスの回復や記憶障害の改善が見られたという例も挙げられています。さまざまな研究に注目して、認知症を明るく乗り越えられる方法を見守っていきましょう。