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認知症の予防

2017年07月14日

若年性の認知症ってどんなもの?予防のために特徴を知って日常生活や食事で対策しよう

考える男性

認知症と言う病気は今では広く知られるようになり、高齢者の病気としてはかなりスタンダードで理解も進んでいる状況だと言えます。人口に占める高齢者の割合がどんどん増えてゆく中で、少しでも発症リスクを抑えるための試みに関する研究が進んでいますが、根本的な治療法が確立しているわけではなく、発症のリスクを最小限にとどめる、あるいは進行を遅らせると言った内容が中心です。

そして誰もがかかる可能性があるけれど、かかったことによって本人はもとより周りの家族の生活にまで影響を与えてしまう認知症は高齢者だけがかかる病気ではありません。

認知症は高齢者だけがかかるわけではない

認知症は高齢者がかかる病気と言うイメージが大きいのですが、実際には若い年代でも認知症を発症する可能性はあります。高齢者の認知症に対して64歳以下の人が認知症と診断されるのが若年性認知症です。

多くの場合社会の担い手として働いている年代にあたるため、認知症の特徴的な症状の一つである物忘れなどが出始めてだんだんと症状が重くなっていくことで仕事や日常生活にも大きな支障が出る事がありますが、年齢的にも認知症を発症しているとは思いにくく、その結果専門の医療機関を受診するタイミングが遅くなってしまう可能性が高いと言われています。

また、年代的にうつ病や更年期障害などの起こりやすい時期と重なる事でより診断が遅くなり、実際にうつ病や更年期障害と間違われてしまい正しい診断までに必要以上に時間がかかるケースが少なくないとも言われています。そして高齢者が発症する認知症よりも若年性認知症を発症するのは比較的男性の方が多いとも言われています。

若年性認知症を発症するとどんな症状が起こる?

最近物忘れがひどくなったと感じる事が増え、仕事でもプライベートでも例えば大切な予定を忘れてしまう事で様々な影響が出て初めて異常を実感することが多いと言われています。ただの物忘れとの大きな違いは、予定を忘れたことを指摘されても予定を組んだことそのものを忘れてしまっていることで、予定自体を思い出せない状況が起こりやすいところです。

そして症状が進行すると今日が何年何月何日かが分からなくなったり、自分自身が今いる場所が分からなくなることもあり、これまで何度も出かけていた場所で居場所が分からなくなることで迷子になってしまうような状況が起こり、そうした明らかにただの物忘れとは異なる症状が度重なる事で初めて異常に気が付く人が多いと言われています。

また、例えば料理が得意だった人でも突然料理の手順が分からなくなったり、簡単な計算がとっさにできなくなって、買い物の際にも小銭を準備できなくなる、片付け方がわからなくなって部屋の中が散らかりがちになる事もあります。さらに怖いのが車の運転で、ブレーキ操作が極端に遅れてしまうなど危険な運転に繋がるケースが考えられます。

若年性認知症の原因として考えられる事

若年性認知症の原因として考えられるのが脳梗塞や脳出血、動脈硬化などの血管障害によるものです。そのほかにも糖尿病や高血圧、脂質異常などのような生活習慣病が若年性認知症の原因やきっかけとなる事が多いと言われています。

脳血管性の原因の場合、意識障害、麻痺、言語障害など脳出血などの急性期の症状として現れやすく、症状がまだらになる事が多いのが特徴です。感情が不安定になり集中力が低下するなどの症状も見られます。脳血管障害による急性期の症状がある程度落ち着いた後に認知症の症状が残っても、つい見逃してしまいがちになります。

若年性アルツハイマー型の場合は失認などが起こりやすいのが特徴で、初期症状は仕事を持つ人の場合極端に作業効率が悪くなったり、意欲が低下してしまうなどが現れます。これらの症状はともすればうつ病などと間違われやすいものであり、実際に若年性認知症との区別が困難な事から発見が遅れるケースが多いと言われています。

また、レビー小体型の場合は高齢者が発症した時と同じように幻視が起こったりパーキンソン病に似た症状が出やすくなります。突然怒り出したり何もないところに向かって話しかけるなどの症状から精神疾患と間違われてしまうケースもあります。

もしも家族が若年性認知症を発症したら

若年性認知症に限らずよく問題になるのが、本人に認知症を発症している事実を告知するかどうかという点です。年齢的に仕事を持つ人も少なくないので、自分としては普通に仕事をできていると思っている段階で若年性認知症を発症していると言う事実を告げられることによってメンタル面でのダメージはかなり大きく、そこからうつ病に陥りやすい状態になる心配もあります。

若年性認知症の告知は本人にまだ理解する能力が残っている段階で行えば、適切な治療法につながりやすくなると言う大きなメリットが考えられます。そしてたとえ理解力が残っていても、本人にとって精神的な負担が大きいことは十分に理解し、周囲の家族などのサポートが何よりも大切であることには変わりありません。

まだ初期の段階でも自分の居場所が分からなくなって迷子になるケースはあるため、周りの人間は本人がパニックになって住所や電話番号などが言えなくなっても困らないように、洋服やかばんなどの持ち物に名前や連絡先を記しておいたり、小型のGPSを活用するなども迷子防止には効果的です。

そして高齢者の認知症と同様につじつまの合わない事を口にするようになっても、本人の話を否定せずなるべく話を合わせるようにすることが大切です。周りの人間はうそを言ったりすることにどうしても腹を立ててしまいがちになりますが、これはあくまでも病気によるものだと理解することが必要です。

若年性認知症の予防のために心掛けたい事

若年性認知症の予防のためには常日頃から生活習慣を見直して悪い習慣を改めるようにすることが大切です。バランスの良い食事を心がけ、お酒はほどほどに、適度な運動をする習慣をつけて肥満にならないように注意することも大切です。塩分や糖分の摂りすぎに注意し食事も食べ過ぎにならないように気を付けるようにします。

また現代人は夜型の生活が定着して睡眠不足の人が増えていると言われますが、質の良い睡眠をとる事は若年性認知症を予防するためにもとても重要なポイントの一つだと言われています。タバコは体に悪い影響を与える事で知られていますが、認知症に関してもそれは同じで、禁煙を心がける事が推奨されます。

アルコール性認知症の場合、お酒は一切禁止になる事で症状が改善することも考えられますが、それ以外の場合は飲みすぎは論外ですが適量を心がけて飲みすぎないようにすれば飲酒が認められることもあります。

若年性認知症の症状の進行を遅らせるためにできる事

若年性認知症も症状が進行してゆく病です。症状の進行を少しでも遅くするためにはリハビリが欠かせません。脳に良い刺激を与え脳の働きを活性化するものが効果的だとされており、例えば音楽を聴いて歌ってみる、簡単なゲームなどをする、本を朗読する、計算問題に挑戦する、ちぎり絵などの指先の刺激や、指示を受けながら料理を作ると言った行為も脳に良い刺激を与えると言われています。

ただし、これらのリハビリは確かに進行を遅らせるために効果があると考えられますが、本人がやる事に負担に感じたりストレスを感じるようでは意味がありません。あくまでも本人の負担にならない範囲で本人ができる内容のものを行って初めてリハビリ効果が期待できます。