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認知症の症状

2017年08月14日

認知症の種類によって症状が違う!種類別のそれぞれの症状の進行や経過・特徴まとめ

説明する医者

誰にとっても発症する可能性のある病気として認知症に対する関心はとても高く、様々な情報がインターネットやテレビ、書籍などに溢れています。確かに誰にでも起こる可能性はある病だとしても、むやみに怖がるのではなく正しい情報を知って正しく危機感を持つことがとても大切です。

自分や家族が認知症を発症したとき、早期発見と共にどんな理由によってどんなふうに進行していくのかを理解することが大切です。

認知症による脳細胞の障害によって起こる中核症状とは?

認知症を発症すると、これまで普通にできていたことが少しずつうまくできなくなってくることが考えられます。認知症は脳細胞の障害によって起こる病気です。そしてそのことに起因して起こる様々な症状が中核症状と呼ばれるものです。

中核症状は一般的には認知症を発症した場合ほとんどの人に現れる特徴的な症状のことを指すものです。まず記憶障害は例えば昔のことはよく覚えているのにちょっと前のことが全く記憶から抜け落ちてしまうような障害のことで、ただの物忘れとは異なり短期記憶障害と長期記憶障害の二つに分かれます。

今現在の日時や今自分のいる場所や方向感覚などがなくなる見当識障害も特徴的な症状の一つです。何度も行った事のある場所なのに自分のいる場所が分からなくなり迷子になってしまう事もあります。

判断力が低下する実行機能障害はこれまで当たり前にできていた事の段取りが上手くいかなくなり、長年してきた身の回りのことや仕事でのミスが増えたり、同時進行で何かを実行するのが難しくなったりします。

失語、失認、先行などを伴う高次脳機能障害が現れます。大脳の障害によって聞く、話す、読む、書くことに関わる機能が失われ、モノの名前を思い出せなくなったり簡単な計算などが出来なくなります。また、体は動いて運動はできているにもかかわらず目的の達成方法がわからず、例えば洋服の着方がわからなくなるなどの症状が起こります。

中核症状と周辺症状にはどのような関係がある?

中核症状が認知症によって起こる脳障害に起因したものであるのに対し、中核症状が起こったことによって引き起こされる混乱や不安などが原因で起こるのが周辺症状と呼ばれるものです。

周辺症状の出方にはその人の置かれた環境や心理状態、そして本人の生まれ持った性格なども影響を受ける為、周辺症状の種類は人によって全く異なり、誰にでも同じような症状が出るものではありません。例えば見当識障害がおこることで、人によっては徘徊をすることが増え、歩きなれた場所であるにもかかわらず元の場所に戻れなくなることがあります。

また、介護者を悩ませる周辺症状の一つに自分の大便を手で触れて寝具などを汚す弄便があります。これは例えばおむつに失禁したことで不快な状態になっていることを介護者にうまく伝える事が出来ないために自分で何とかしようとしてこのような行動につながると考えられています。

また、お金などをなくしたと騒ぐ物盗られ妄想もよくある周辺症状の一つで、これはいつ、どこに、何を仕舞い込んだかを忘れてしまった事による不安感から起こると考えられています。本人がいくら探しても見つからないと家族の誰かが盗んだという妄想に至ってしまうものです。

そのほかにも、食べ物の判別がつかなくなったり飲みこみ方がわからなくなる、食事や入浴、服薬などの介護を拒否する、普段は穏やかな人なのに突然怒鳴ったり暴力をふるうなども周囲の人間を悩ませる症状の一つです。

また、睡眠をつかさどる体内時計の調整機能が狂ってしまい昼夜が逆転したりすることで、夜になると興奮して夜間せん妄が起こるなどの睡眠障害、無気力無関心、落ち込みなどのうつ症状、幻覚やせん妄などが現れる事もあります。

こうした周辺症状は本人の服薬の内容や介護、リハビリのしかたによって改善が見込まれるものもあります。介護にあたる家族などが病気のことを正しく理解し、こうした症状に対して適切に対応することで症状が落ち着き、介護の負担が軽くなる可能性は十分に考えられます。

三大認知症の種類と特徴

認知症にも種類があり、それぞれに特徴があります。それぞれの症状の出方や注意が必要な点などを理解し、早期発見によって早い段階で適切なケアにつなげる事で病気の進行を抑えられる可能性が高まります。

認知症の象徴的な病気としてよく知られるのがアルツハイマー型認知症で全体の55パーセントを占めるといわれています。次にレビー小体型認知症15%、脳血管性認知症10%となっており、この3種類の認知症を合わせて三大認知症と呼ばれることもあります。

アルツハイマー型認知症

日本で確認される認知症の半数以上を占めるのがアルツハイマー型認知症です。脳内にアミロイドβという特殊なタンパク質が蓄積されることで脳神経が損傷し、脳が委縮することが原因だとされています。女性の発症率が高いとも言われ、病気の進行段階によって現れる症状が変化します。初期の段階であらわれやすいものに同じことを繰り返したり、大切な予定などの存在を忘れる記憶障害があります。

また自分の今いる場所や今が何年何月何日かが分からなくなる見当識障害、これまで何度も普段からしていた作業の手順が分からなくなる判断力の低下、趣味や興味がなくなりぼんやりとした状態に陥る自発性や意欲の低下、物を盗られたと思い込んだり怒りっぽくなるなどが初期のころに出やすい特徴的な症状だと言われています。

家族や介護者など周囲の人間は本人の言う事やする事をなるべく否定しない事が対応方法のポイントです。

レビー小体型認知症

脳内にレビー小体という特殊なタンパク質が蓄積して神経細胞が壊れる事が原因でおこる認知症です。パーキンソン症状を伴った認知症として進行することが多いのが特徴です。

代表的な症状には実在しないものが見えたり聞こえないはずの音が聞こえる幻覚や幻視、手足が震えて筋肉がこわばったり体のバランスが崩れて左右どちらかに傾く、体の動きがぎこちなくなるなどのアパーキンソン症状などが挙げられます。

また、意識がぼんやりとした時とはっきりしている時との差が激しく、日単位や時間単位でそれらの状態を繰り返す認知機能の変動がみられ、介護にあたる家族などから見ればいわゆる「ぼけたふり」をしているのではないかと言う疑いをかけられてしまう事もあります。

さらに、薬の副作用が出やすい薬剤過敏性、睡眠中に大声を出して叫んだり手足を激しく動かしてけがを負ってしまうなどのレム睡眠行動障害が起こりやすいのが特徴です。

対応には幻視などの症状に対して本人にとってはそれが事実であることを受け入れてあげる事が大切だとされています。また、薬の副作用が過敏に出やすくなるため副作用が出たらすぐに医師に相談して薬を調整してもらう事が大切です。

脳血管性認知症

脳梗塞や脳出血などが原因で脳自体の変性ではなく外傷によって発症するものです。女性よりも男性の発症率が高く、生活習慣病があると発症リスクが高まると言われています。

症状がその日や時間によって変わるまだら認知症症状や、嚥下障害、歩行障害、言語障害などに代表される運動機能障害、深い落ち込みや突然意識障害を起こして取り乱す、喜怒哀楽の感情が抑制できなくなるなどの症状も現れます。

感情の起伏が激しく出やすいという病気の特徴を理解し、落ち着いて対応することが必要になります。生活習慣病や脳出血などが原因と考えられるため、血圧のコントロールや規則正しい生活を心がける事も大切です。