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認知症の症状

2017年10月31日

ピック病による認知症の症状ってどんなもの?前頭側頭型認知症の特徴を知っておこう

医者

認知症にはさまざまな種類がありますが、前頭側頭型認知症もまた、認知症の種類の中の一つで、前方型認知症とも言われます。ピック病と呼ばれることもありますが、これには理由もありますので、詳しく探っていきましょう。前頭側頭型認知症は、ほかの認知症と比べると大きく異なる特徴もあり、それに伴う介護の負担もあります。

最初は症状が理解できず、訳がわからなかったり、対応の仕方がわからなかったりと、大きな不安を抱える時もありますが、まずはどのような病気なのかを知ることからはじめてみましょう。前頭側頭型認知症についての概要や症状の特徴などをまとめてみましたので、介護方法を考える際の参考にしてみてください。

前頭側頭型認知症とピック病について

前頭側頭型認知症はピック病と呼ばれることがありますが、これは、ピック球という物質が大脳の神経細胞の中に発生して脳にダメージを与える状態があることが関係しています。ピックという名前は、最初に病気を報告した医師の名前から付けられました。

ピック球以外に、特殊なたんぱく質がたまる場合もあるなど、前頭側頭型認知症の原因は複数あることもわかってきましたので、今後の研究内容にも注目してみると病気を詳しく知る上で参考になるでしょう。

具体的には、病気の名前からもわかるように前頭葉と側頭葉付近に影響があり、前頭葉と側頭葉の機能低下による障害が起きたり、脳が萎縮したりします。64歳以下で発症する若年性認知症としても挙げられることがあるでしょう。遺伝が関係するとも言われますが、海外と日本との違いも挙げられ、日本の場合において遺伝はそれほど影響しないという意見もあります。

若年性で発生するだけでなく、徐々に進行していき、病気に気付いてからの生存期間は数年という短い期間も挙げられていますので、早期発見と早期対処をすることが、本人が充実してストレスを少なく過ごすためにも必要になるでしょう。

この病気の症状では、態度や人格の変化などが見られますが、失礼な人になった、やる気を見せなくなった、などの印象を与えることなどから、認知症ではなく精神の疾患だと思われてしまう場合があることも注意点となっています。

前頭側頭型認知症の特徴

反社会的行動をとる

万引き、痴漢、暴力、信号無視など、社会における公のルールを無視した行動をとってしまうことがあるでしょう。原因は脳がダメージを受けている部分にありますが、前頭葉や側頭葉などは、思考、感情、判断力、言語の理解、などを司る部分のため、正常な状態なら理性が働いて行ってはいけないことだと容易にわかることが難しくなってしまいます。

前頭側頭型認知症に気が付かないうちにトラブルが起きてしまうと大ごとになる場合もあるため、疑いがある時には医師の診断を早めに受けると役立つでしょう。トラブルが起きる前にしっかりと介護体制を整えることが必要です。まずは病気に鈍感にならないように注意することが大切ですね。

人格が変わる

反社会的行動にも関係する部分がありますが、人間性が変わってしまうのは特徴的な症状です。何が良くて何が悪いのか、思いやりを持って接する、などができなくなり、騒がしくなる、派手になる、暴力的になる、または何もしなくなるなど、人が変わったようになってしまうことがあるでしょう。症状に見られるような行動の異変を指摘すると怒り出すこともあるほか、症状では無気力になることもあり、感情の起伏が乏しくなる場合もあります。

言語障害

言語を理解する部分に病気のダメージを受けると、失語などの症状が出ることがあるでしょう。言葉が出てこなくなり話せなくなってきます。無口になるほかには、反響言語と言われる人の言葉をオウム返しにすることや、脈絡のない同じ言葉を何回も繰り返す、といういくつかの特徴もありますので合わせて参考にしてみましょう。

言葉の意味がわからなくなり、身近に使う物の名前を言っても理解されない場合があります。ただ、物の名前は理解できなくても、使い方は問題なく使っていることもあるため状況には複雑な部分も見られるでしょう。

日常生活に与える影響

不潔が気にならなくなり、ゴミの片付けやお風呂に入るなどの衛生行動をしなくなる、同じ服を何日も着続ける、などの症状もあります。食生活では、過食、拒食、のほか、食べられないものを食べようとしてしまうこともあるでしょう。

お酒の量が増える、嗜好が変わる、という場合もあります。また、同じ動作を繰り返したり、同じ道を何度も行き来したり、という繰り返しの行動を行うことがありますが、これは介護ケアのポイントにつながる事柄でもありますので、おさえておくと良いでしょう。

前頭側頭型認知症の見分け方は?

万引きをする人が全て前頭側頭型認知症という訳ではないため、一つの事柄だけでは判断が難しいですが、以前と比べて異変があった時には生活全体を見直して本人を観察しながらほかに異変がないかどうかも探すことで病気に気付きやすくなるでしょう。

前頭側頭型認知症の具体例

  • 万引きだけでなく、その場の環境にそぐわないふざけた行動や自分勝手な行動をするようになった
  • 同じ時間に同じ道を歩く、同じ物ばかりを食べる、同じ発言を繰り返す、同じ行動を繰り返す、などのことが目立つようになった
  • 何もする気が起きない様子、清潔やおしゃれを心がけなくなるなどの、周りのものに関心がなくなった
  • さまざまな変化がある中、初期段階では記憶障害は見当たらず、日時や場所、出来事の記憶は残っている

介護をする時には

まずは前頭側頭型認知症について詳しく理解することが大切です。理性を失った状態だと、こちらの言い分やルールなどが伝わりづらくやっかいな面が多々予想されるため、コツを掴んで介護をしていきましょう。症状の一つに同じことを繰り返す常同行動と呼ばれる特徴がありますので、これに当てはめて生活のケアをすると比較的落ち着いてもらえる場合があります。

悪い習慣を付けないように気を付けて、良い習慣に誘導することがポイントになるでしょう。同じ時間に入浴をするなどの衛生行動の習慣を付けたり、同じ道を歩く習慣があれば、散歩などの健康習慣に利用できることもあります。

同じ行動をとることがわかっていると、行動の予想がつくためトラブルにも対処しやすくなるでしょう。常同行動を妨げるとストレスを与えてしまうことにつながるため、できるだけ本人のリズムを崩さないようにサポートして、こだわりを上手に生かした介護ケアを行うと役立ちます。

前頭側頭型認知症の治療について

現段階では完治が難しい病気のため、薬を使って症状をコントロールするなどの方法が行われています。症状によってマッチする薬は違ってくるため、それぞれの人の状態によって薬の内容は変わってくるでしょう。

医師の診察を受けて、説明に合わせて正しく薬を利用することが大切です。現在の生活にできるだけ負担をきたさないように、本人の持つ能力を最大限生かしながら、上手にサポートしてケアしていきましょう。

とはいえ、介護者の負担が大きい病気でもありますので、家族間や一人だけで抱え込まずに、プロのサービスを取り入れることも視野に入れておくと役立ちます。同じ病気を持つ家族との情報共有なども勧められていますので、幅広く情報を集めて前向きに対処していきましょう。