認知症の症状
2017年05月16日
レビー小体型認知症の症状とパーキンソン病の関係って?症状の特徴や違いについて
高齢化が進むにつれ認知症を発症する患者数が増えていると言われますが、認知症にもさまざまな種類があります。老化による物忘れと認知症が混同されることがありますが、認知症と言う名称は何らかの病気によって起こる症状や状態を総称して認知症と呼ぶもので、そんな認知症の種類の一つにレビー小体型認知症があります。
レビー小体型認知症とはどのような病気か?
直接的な原因に関しては現在はまだはっきりと解明されていませんが、脳の中の広い範囲にレビー小体と言う異常なたんぱくが固まって脳内の神経細胞が少しずつ減ってゆく進行性の病気がレビー小体型認知症です。
認知症の名称としてよく知られるアルツハイマー病や血管性認知症の次に多い認知症の種類で、その患者数は認知症を発症している患者全体の約2割ほどだと言われています。75歳から80歳くらいの高齢の人に多く認められる病気であり、基本的には遺伝することはないとされています。
レビー小体型認知症の特徴的な症状
レビー小体型認知症を発症すると、時間や自分が今いる場所、周囲の状況を認識する能力や人との会話の際の理解力が低下したりする認知機能の変動が起こります。ただし、これらの症状には良い時と悪い時とに大きな差が目立つのが特徴です。そして実際には存在しないものが見える幻視の症状が現れます。幻視が起こるのは特に夜間が多く、本当はそこには存在しない人や子供の姿などが見えると言う症状が繰り返し現れます。
パーキンソン症状とは?
パーキンソン症状と言うのは顔の表情や体などが硬くなり、体の動きが減ってしまう事で動作がぎこちなくなったり、手が震えたり、立った時の姿勢が前傾になる、歩く歩幅が小さくなる、バランスを崩しやすくなるなどの運動機能にまつわる症状が現れる状態のことをさします。人によっては自律神経症状により立ちくらみや失神などの症状が起こる事もあるとされています。
誰もいない場所に居ながら誰かがいる気配を感じたり、目の前にいる見慣れた家族を認識できなくなったり、自分の家に居ながらここは自分の家ではないなどの妄想が起こる事もあります。そしてこのパーキンソン症状はレビー小体型認知症の人に出現する精神症状の一つです。
特徴的な様々な精神症状を治療するために、統合失調症や、妄想、幻聴などの症状を抑えるための投薬治療を行う事もあります。アルツハイマー型認知症と比較すると物忘れなどの症状は軽度な事が多く、幻視の症状が強く出るケースやパーキンソン症状が強いケースなど、人によって症状も出方も病気の進行の速度も異なります。
どのような経過をたどって進行するか
まずレビー小体型認知症の初期の症状には便秘や嗅覚異常、うつ症状、睡眠中の行動異常などが起こると言われ、その後に物忘れや起立性低血圧、慣れたことが段取り通りにできないなどの症状が現れます。中期に入るとパーキンソン症状が強くなり歩行が難しくなったり理解力が極度に低下してゆくようになり、普段の生活をおくるのに介助支援が必要になります。
後期になるとパーキンソン症状や認知障害の症状がさらに悪化し、日常的に車いすの利用が必要なケースが増えます。その時によって認知機能の良い時と悪い時の差があまり目立たなくなり、常に悪い状態が続くようになり、身体的には嚥下障害が目立つようになります。
レビー小体型認知症は早期に適切な診断を受けて、必要な介護サービスを受けられるケアプランを立てれば精神症状や行動異常などはある程度は抑制することができます。現在は完治するための治療方法や病気の進行を止める薬はありませんが、認知機能の低下や幻視などにはアルツハイマー病の治療薬が有効な場合もあると言われています。