介護の悩み
2017年04月03日
介護者に必要なレスパイトってなに?介護職もレスパイトを心がけていきたいわけ
平均寿命は相変わらず世界一になっている日本では自分の親などを介護する側の疲労が蓄積した結果と思われる痛ましい事件をよく耳にするようになりました。誰もが同じように年を取ってゆき、いずれは一人で生活をおくる事が難しくなってくると介護のために誰かの手を借りるようになってゆきます。設備の整った施設で介護を受ける人もいれば、在宅で子供や配偶者などの手によって介護を受ける人もいます。
でも、介護と言う仕事はいつ終わるともしれない先の見えないトンネルのような状態に陥りやすく、特にたった一人で介護を一手に引き受けているような状態だと精神的に追い詰められてしまうのもある意味当然のことなのかもしれません。そんな風にいつ終わるともしれない介護の苦しみを一時的でも和らげるのがレスパイトの目的です。
急増する老人虐待などのケース
高齢になって体が思う様に動かなくなれば誰もが自分自身にいら立ちを覚えたり深い絶望感にさいなまれたりするものです。介護が必要な状態になった自分自身をなかなか受け入れる事が出来ず介護する側につらく当たってしまう人もいれば、介護する側の配偶者や子供などが自分の配偶者や親の状況を受け入れきれずに絶望した結果、介護に疲れ果てて虐待に走ってしまう事もあります。家庭での介護の場合は密室介護になりやすく、虐待や時には殺人にさえいたってしまうような痛ましいケースが後を絶ちません。
介護する側にも休息は必要
介護殺人などに至ってしまうケースの多くは、介護する側も責任感を持って一生懸命に頑張っていることが多いと言われています。責任感が強いからこそ、理想どおりにいかない介護生活に絶望し、いつまで続くともしれない生活に疲れ果て、命を絶つような通常の精神状態では考えられない選択をしてしまう事に繋がります。
たとえ自分の血のつながった親であっても、介護の大変さは同じです。そのことに共感し話を聞いてもらうだけでも心が晴れるケースもあるのですが、時には頑張りすぎないように一定期間レスパイトサービスを受けて介護から解放されることも必要です。レスパイトサービスにはデイサービスやショートステイなども含まれ、上手に活用することで自分を追い込みすぎないように息抜きをすることはとても大切な事だとされています。
介護士にとってもレスパイトは重要な意味を持つ
日々仕事で高齢者に向き合っている介護士にとっても、レスパイトを上手に取り入れることはとても重要です。施設職員による利用者への虐待がニュースになることはあっても、介護士が日々の仕事の中で受ける利用者からの暴言や暴力がニュースになることはまずありません。利用者のいら立ちやストレスのはけ口になってしまうようなシーンは日常的な事でもあり、介護士にとってもいくら仕事とはいえ大きなストレスになってしまう事は少なくありません。
真面目に一生懸命に利用者と向き合おうとするほどに、そうした理想と現実の乖離に悩まされるようになります。鬱積したストレスが爆発して利用者に対して手を挙げてしまう事は許されない事ではあっても、無理を続ければだれにでもその可能はあります。その手前でなんとか頑張って理性を働かせるためにも、介護士にこそレスパイトは必要だと言えます。介護する家族に対するレスパイトサービスはあっても介護士のためのレスパイトサービスと言うものはありません。
だからこそ忙しい日々の中でも自分自身を仕事から解放してあげられる機会を作る事が大切になります。思い切って数日間仕事を離れてみたり、ちょっと友人とお酒を飲みに行ってみるだけでもいいのです。自分をリセットし、また頑張って介護の仕事に戻ろうと言う気持ちにさせるための大切な小休止の時間、それが介護士にとっても必要なレスパイトです。