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介護の基礎知識

2016年09月13日

介護保険法の見直しで施設の対応も変わる?介護職なら知っておきたいポイント

介護保険

わが国の介護保険法は、高齢者を社会全体で支えるという理念のもと、平成12年4月に施行されました。これまで3年ごとに見直し・改正が行われていて、最近では2015年度(平成27年)の改正が記憶に新しいところです。今回は、この2015年度の改正点を中心に、介護士にとって知っておくべき介護保険のポイントについて、ご紹介したいと思います。

関連:どう改正されるの?2018年の介護保険制度の見直しと介護士への影響

2015年度の改正について ~負担額編~

2015年度の改正では、一部利用者の負担額が変更となるなど、お金に関する改正が多く施行されました。主な内容は以下のとおりです。

介護サービス利用料の負担割合

介護保険適用の介護サービス利用料について、これまでは一律1割の負担となっていました。しかし、2015年4月より、一定以上の所得がある利用者に関しては、2割負担へ引き上げとなっています。

高額介護サービス費の負担上限額

これまでは一律37,200円となっていましたが、一定以上の所得がある利用者に関しては、44,400円に引き上げとなっています。

介護保険3施設の食費や部屋代について

(介護保険3施設とは、入所サービスを行う介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設を指しています。)これらの施設での食事や部屋代について、年金や収入の少ない利用者は、減額の対象となっています。しかし2015年度の改正により、現在の年金・収入が少ない場合でも、預貯金額が1,000万円以上を超えている場合は、減額の措置を受けることができなくなりました。

これらは、主に利用者の負担額についての改正点です。一見、「介護士には関係のないことでは?」と思ってしまうかもしれませんが、利用者や家族から、金額的な問い合わせが介護士に直接ある場合も考えられるため、安易に回答することを避けるためにも、これらの違いを把握しておく必要があります。

2015年度の改正について ~その他~

その他にも、2015年度にはさまざまな改正点がありました。以下の改正点も、介護士に大きな関わりがあるものばかりです。

特別養護老人ホームの入所対象者

終の棲家として待機者数が課題となっている特別養護老人ホーム(特養)ですが、以前は要介護1以上の認定を受けていれば、入所申し込みをすることが可能でした。

しかし、「重度の要介護者」のみ受け入れていく、という特養の方向性から、2015年度より、原則として要介護3以上の認定を受けた方が、入所申し込みの要件と見直されています。(要介護1、2の方でも、特例入所の措置あり)

特養は、その他の介護サービスに比べ重度の要介護者を多数受け入れていることから、介護士の負担がより大きい勤務先として知られています。そして今回の改正により、その負担はますます大きくなるものと予想されるでしょう。しかしその分、やりがいを感じる機会はますます増え、介護職のキャリアアップの場としては最適なものとして考えられています。

参考:特別養護老人ホームで働く介護士の役割って?仕事内容や職場としての特徴とは

要支援者の予防介護について

介護は現在必要ないが、何らかの生活支援が必要な方については要支援認定を受けることができ、現在は「要支援1」「要支援2」の2種類に分類されています。その要支援1、2の方が利用する介護予防サービスの内、「訪問介護」、「通所介護」について、今後は介護保険の適用外となり、地域ごとが制定する「介護予防・日常生活支援事業」に移行されることになりました。

改正された2015年4月より3年間は移行準備期間となるため、現在お勤めの事業所がこれらのサービスを提供している場合、近日中に変化が訪れることになるでしょう。

また、一方では介護保険の垣根が取り払われることにより、要支援者を対象としたヘルプサービスについて、新規参入する法人が増えることが予想されます。それにより、現状の訪問介護では提供できないサービス(例:ゴミ出し、草むしりなど)を展開する業者が現れることが考えられ、介護士としても仕事の選択の幅が拡がることで、より多様な経験を積むことが可能となるでしょう。

今後も改正には注意深く

今回は直近となる2015年度の介護保険改正について、主なものをご紹介いたしました。介護保険は3年ごとに大きな改正が行われるため、今後は2018年(平成30年)にも見直しが見込まれています。

「介護士は、ただ介護業務をしていればいい」ということは決してあってはならず、介護保険の概要をはじめ、見直し点や改正点について十分に把握した上で、利用者と関わっていくことが理想といえるのではないでしょうか。

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