介護の基礎知識
2016年08月12日
「介護プロフェッショナルキャリア段位制度」ってなに?内容やメリットを知ろう
高齢化社会がすすむ近年、介護を必要とする人が増加傾向にあります。それに伴って、介護士の需要も高まっています。しかし、ハードな業種であることで知られている介護業界は、他の職種と比べて離職率や定着率が低いことが問題視されています。そんな中、介護業界に新たな制度が導入されました。
介護プロフェッショナルキャリア段位制度とは?
これまで、それぞれの施設で介護士としての評価をしてきました。そこに介護プロフェッショナルキャリア段位制度を導入することで、共通のものさしによって評価することができるようになりました。これによって、介護士の質の向上やさらなる人材育成を図ることが出来るようになりました。キャリア段位制度は、7段階に分かれています。
LEVEL1
エントリーし始めた人がこのレベルに値します。専門学校や大学など介護士としての準備教育を受けた段階の人は、このレベル1となります。初任者研修で、介護についての基本的な知識や技術を習得することが必要になります。
LEVEL2
上長からの指示通りに、一定の仕事が出来る人は、このレベルとなります。この段階では、基本的な技術を使って、決められた手順で仕事することが出来るかどうかが問われます。利用者が何を求めているのかなど、状況に応じて介護を行うことが求められます。
LEVEL3
このレベルに値する人は、上長の指示がなくても、自分の判断で適切な仕事をすることができます。幅広い知識や技術を習得し、利用者の状態に応じた介護を行うことが求められます。また、他業種との連携を図り、適切な仕事を行うことも必要になります。
LEVEL4
介護士として一人前な仕事ができるだけでなく、職場で他の介護士を先導することができる人か、このレベル4に値します。部下や後輩に指導・指示を出したり、チーム内でリーダーシップを発揮することが求められます。レベル4になると、事業所内で介護士の評価を行う「アセッサー」になることができます。
LEVEL5
レベル5になると、プロとしてのスキルだけでなく、その介護士独自のスキルを身につけており、それが周囲から評価されていることが必要になります。
ある分野において、専門的な知識や技術を身につけており、その事業所にいなくてはならない存在となっていることが求められます。後輩や部下への指示はもちろん、他業種との連携のキーパーソンとして活躍する人が望ましいといえます。
LEVEL6
レベル5の段階の内容がより確実に身につけられた介護士が、このレベルに到達します。通常の介護だけでなく、介護士の育成や教育、他職種との連携など、管理的な役割もこなす場面が多くなってきます。
LEVEL7
介護分野において、専門的な問題にも対応可能なプロフェッショナルであると認定された介護士は、このレベルになります。介護業務においては、他の介護士では難しい症状をもった利用者にも、満足できる介護を提供できることが求められます。また、他の介護士の管理や他の職種とのやりとりについても、全面的に任されるようになります。
導入することで何が変わる?
この介護プロフェッショナルキャリア段位制度が導入されることで、介護士にはさまざまなメリットが生まれます。まず、現場で自分が何が出来るのかが明確になります。これまでの所有資格のような曖昧な基準ではなく、具体的にどんなことができるのか、どんな役割を果たせるのかが証明できるようになります。これによって、介護士のモチベーションをアップさせたり、就職の際の武器にしたりすることもできます。
また、この制度に則ってインセンティブなどを導入する事業所もあるため、働く場所によっては給与アップにもつながる可能性があります。このように、介護士のスキルを具体的に評価し形にすることで、介護士としてのやりがいを高めることができるのです。さらに、人手不足が慢性化している介護業界において、この制度の導入で新しい人材の参入が期待できるのではないかと言われています。介護業界をもっと活気あふれるものにしてくれるのが、この介護プロフェッショナルキャリア段位制度なのです。