介護のハウツー
2017年02月07日
感染症に要注意!介護施設内での集団感染を防ぐために介護士ができる対策方法
毎年空気の乾燥する冬の季節には、インフルエンザが猛威をふるい、胃腸炎や風邪なども流行し、小中学校では罹患者が増えれば学級閉鎖などの状態に追い込まれることも珍しくありません。そのため、冬の季節にはいる前に毎年インフルエンザの予防接種をかかさないという人も大勢いますが、一方予防には全く無頓着で、感染症に対して全く無防備に近い生活をしているという人もいます。
でも、感染症は自分がかかって苦しい思いをするだけではなく、周囲の人に感染させてひどいときにはその団体が機能不全になってしまうことさえ考えられます。自分自身が予防対策をとらなかったことで、周りに大きな被害を与えてしまうことにならないように、常日頃から感染症に対して正しい認識を持つことが求められます。もしもかかってしまったら薬を飲んで治せばいい…これほど迷惑極まりないことはありません。
ちょっとした感染症でも重症化しやすい高齢者
子供たちが集団で生活する学校でもインフルエンザなどによる集団感染は毎年ニュースをにぎわせています。また、インフルエンザなどが猛威を振るう季節が、人生でとても大切な受験と言うタイミングと重なることもあり、受験生を抱える家庭では感染症への対策はかなり気を遣っていると言う人が少なくないことでしょう。けれども、学校ももちろん心配ですが介護施設で暮らす高齢の利用者は若い年代よりもはるかに体力が落ちて免疫力が低下しているため、感染症以外にも様々な病気を持っている人が少なくありません。
そして身体の自由が効きにくくなっていることから、身の回りの世話を介護スタッフにやってもらうことがほとんどです。そのため施設の中でインフルエンザなどの感染症が流行しだすと、それでなくても免疫力の低下して体力のない利用者は、普通の健康な人よりもはるかに症状が重症化しやすく、時には死に至るということもけして珍しいことではありません。そして万一利用者が感染症に罹患しても、介助する立場にある介護職員が日常的な生活の世話をする為、利用者を完全に隔離するのは困難で、たとえ他の利用者とは隔離したとしても、介護スタッフが媒介して別の利用者に感染してしまうという可能性は十分に考えられます。
集団感染になる可能性の高い感染症と心配のない感染症
集団で生活する高齢者施設などでは、そこで働くスタッフ間でも感染が起こって、スタッフが媒介することで集団感染を起こす可能性はとても高いといわれています。そのため各施設では集団感染を予防するための様々な対策をしているところがほとんどなのですが、高齢者施設での集団感染のニュースが全く報道されないことはまずありません。
感染症と言っても集団感染を起こす可能性の高いものにはしっかりとした対策が求められますが、中には集団感染に発展する心配が少ない感染症もあります。まず集団感染を起こす可能性のあるものとしては、インフルエンザ、ノロウイルス、腸管出血性大腸菌感染症、結核などがその代表的なもので、そのほかにも健康な人には感染の心配が少なくても、高齢者介護施設などでは集団感染の可能性があるのがMRSA感染症や緑膿菌感染症などです。ただしB型、C型肝炎やHIV感染症などは血液や体液を介して感染するため、集団感染の可能性は少ない感染症といえます。
集団感染を予防するために気をつけたいポイント
高齢者施設などでの集団感染を予防するためのポイントは、まずは感染源を排除して感染経路を遮断することです。感染源となりえるものとしては罹患者の嘔吐物や排泄物、血液や体液、たんなどの分泌物なので、注射針やガーゼなどのようにこれらが付着したものを取り扱うときは絶対に素手で触れずに手袋を使用し、作業が終了したら必ず手指の消毒を行います。そして病原体を施設内に持ち込まず、持ち出さず、拡散しないことです。施設の外部から感染症の病原体を持ち込まないようにすることと、介護スタッフの健康管理を徹底することも集団感染予防の重要なポイントです。