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介護の悩み

2016年09月16日

介護の身体拘束ってどこからが当てはまるの?拘束の注意点と虐待との違い

拘束のイメージ

介護の現場では、身体拘束が問題となっています。この身体拘束は、具体的にはどういった事を指すのでしょうか。そして、どこからが身体拘束になるのでしょうか。今回は、この身体拘束について見ていきましょう。

身体拘束とは?

身体拘束とは、施設や病院において、認知症などを患う利用者の身体を拘束する事を言います。これは、利用者が動いたり暴れたりしてしまい治療や介護ができない時や、事故の恐れがある時、自傷行為、あるいは他者を傷付けてしまうような危険があるなどといった時に行われます。

具体的には、

  • 紐や抑制帯などを使い、ベッドや車椅子に縛って拘束する。
  • 点滴やチューブなどを自分で抜いてしまわないように、手首を拘束する。
  • 指を動かせないように、ミトンの形の手袋を着けさせたりする。
  • 服を勝手に脱いだりおむつを外したりできないように、つなぎの洋服を着させる。
  • ベッドの周囲を柵で囲み、自分でベッドから降りられないようにする。
  • 外から施錠して部屋から出られないようにする。

といった事が挙げられます。

こういった拘束の他にも、向精神薬を飲ませて動けないようにするといった行為もあります(ドラッグロックと言われます)。
さらに、言葉を使って利用者を拘束する行為もあります(スピーチロック)。「○○してはダメ!」や、「なんでそんな事したの!」というような言い方が当てはまります。しかし、スピーチロックはどこからが拘束になるのか、はっきりした境界線が無いとされ、判断が難しいものです。

身体拘束の危険性

厚生労働省は、介護保険が適用される施設において、こういった身体拘束は、どうしようもない場合以外は禁止としています。つまり、身体拘束は基本的には行ってはいけない事で、最後の手段とも言えます。しかし、中には、日常的に安易に身体拘束を続けている施設もあるとされています。

一時的ではなく、長時間、あるいは一日中拘束した状態では、肉体的にも精神的にも大きな苦痛を与えてしまいます。これは、人間の尊厳を奪い、生きる力を失わせてしまう事になります。また、身体拘束をされるのは認知症の方が多いですが、認知症の方は、自分がどうして縛られたり閉じ込められたりするのかが理解できません。その為、不安や恐怖がどんどん大きくなってしまいます。

そして、拘束される事で、脱水症状を起こしたり、食欲が無くなったりもします。褥瘡ができてしまう事もあります。身体拘束をされると思うように動けない為、全身の筋力が低下し、心臓や肺など、内臓の機能も低下していきます。そうなると、感染症などに対する免疫力も落ちます。そして、そこからどんどん衰弱して寝たきりになる事もありますし、最悪の場合は亡くなってしまう事もあります。

また、認知症はすぐに良くなるものではないので、身体拘束をしてしまうと、それがずっと続くという事にもなりやすいのです。一度でも身体拘束をしてしまうと、悪循環に陥ってしまう危険性が強いとされています。

さらに、身体拘束から虐待へと進んでしまう危険性もあります。本来の身体拘束の目的とは異なり、介護をする人にとって不都合だから、面倒だから、という理由から身体拘束をしてしまう事があります。そして、上手く集団生活ができない利用者を拘束するという事が増え、大きな問題となりました。こういった、身体拘束は必要だから仕方が無くしているという考えから、次第に虐待へとエスカレートしてしまう事が懸念されているのです。このように、身体拘束と虐待の違いには、明確なものは無いと言っても過言ではないでしょう。

身体拘束を止めるには

現在、身体拘束を止めようという動きが、多くの施設で出て来ています。身体拘束ではなく、あらゆる方法で適切に対処する事が重要視されています。

その為には、一人一人の利用者と接するように心掛け、ゆっくりと話を聞く事、そして、症状や考えを理解し、どのようにすれば改善するのかを考えていく事が重要です。また、身体拘束はしてはいけない行為なのだと、介護する側の人も常に意識する事が大切です。

身体拘束は、される側はもちろんですが、介護をする側の人も精神的につらくなってしまいます。実際に、悩んだり、鬱病になってしまったりする介護士さんも少なくありません。

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