介護の基礎知識
2016年08月03日
介護職の未来と将来性は?進む高齢化社会で変わる介護の仕事と役割
近い将来、3人に一人が高齢者である超高齢化社会になると言われる国、日本。介護の仕事は数が多く、安定していると言われていますが、今後はどのように変化していくと考えられるのでしょうか。
ますます進む高齢化社会でどんな変化が起きているのか?
私たちが住む国、日本では世界的に見ても前例のないスピードで高齢化が進んでいると言われています。そのため高齢化社会としてのあり方や介護のあり方について参考になる前例がないのが実情です。
団塊の世代と呼ばれる戦後の日本経済を支えてきた世代が65歳以上になり始めた今、高齢者といってもまだまだ働いている人もいれば、ボランティアなどの社会活動に参加している人もいます。高齢者イコール弱者という考えは改めなければならない点も少なくありません。高齢者の意欲や尊厳を損なうことがないよう、社会全体が変わる必要が出てきたと言っていいでしょう。
変わるべき介護職を取り巻く環境
介護職といえば、仕事がきつい、低賃金、辛い作業が多いといったネガティブなイメージがあります。しかしこれはマスコミなどによって作られたイメージで、実際に働いている人たちからはこんなにやりがいのある仕事はないという声も多くあがっています。
しかし介護の現場には医師や看護師、リハビリ士、介護福祉士の有資格者と資格のないヘルパーさんなど、立場が異なる人が混在しています。介護福祉士やヘルパーの立場が軽く考えられていることも少なくありません。
これに対して厚生労働省は国家試験である介護福祉士の資格を取る条件を難しくし、ハードルを上げることによって社会的評価を高めるように制度を変化させていこうとしています。しかし実際の現場からは資格が難しくなれば(介護資格一覧)、現職のヘルパーが仕事を休まざるを得なくなる、若い人が介護職に就きたがらなくなるといった懸念の声が上がっているため、資格取得についての変更は、2014年現在、先送りされているのが現状なのです。
人間が相手である介護の仕事は机上の理論よりも現場での実践がものを言うことが多くあります。それにもかかわらず、実務経験にプラスして費用も時間もかかる介護福祉士実務者研修受講を国家資格受験の条件にするのは、介護職の待遇を改善する方法として矛盾していると言えるのではないでしょうか。
介護職の未来を変えるために必要なこと
ますます高齢者が増える中、介護の仕事も多様化していくと言われています。団塊の世代やそれ以降の世代が高齢者になれば、これまでとは違ったニーズが出てくるからです。しかし逆をいえば、それだけ介護の仕事は増え続けるということでもあります。
今後は仕事が大変、賃金が低いといった不満を漠然と上げるだけではなく、医師会や歯科医師会に代わる職能団体である介護福祉士会やマスコミを通して現場の建設的な意見を伝えていくといった介護職の未来を変えていく行動も必要になってくるのではないでしょうか。