介護のハウツー
2016年09月17日
介護士のための歩行介助の方法!歩行の上手な支え方や注意点を知ろう
介護士の仕事の中で、足腰の弱くなった高齢者に寄り添うようにして歩く歩行介助の仕事はとても重要です。健康な人にとっては出来て当たり前の歩くという動作も、体の弱った人にとってはけして簡単なことではなく、その人の体調や体力、気力など様々な条件によって必要とされる手助けの方法も変わってきます。
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歩くという行為の大切さ
足を左右交互に出して体を移動する歩くという行為は、健康な人にとっては出来て当たり前であり、誰もが生活の中でトイレに行ったり散歩をしたり、近所に買い物に行ったりと言う日常生活の中でなくてはならない大切な能力です。
高齢になって体の機能が衰えていったん歩けなくなると生活のあらゆるところで支障がおこり、活動範囲は極端に狭くなってしまい、歩かなくなることで少しずつ筋力や体のバランスを保つ能力などの身体機能が衰えることに繋がります。
そして自分が誰かの手助けを受けなければ歩けなくなることで気持ちの面でも落ち込みがちになり、その結果日常生活の中での活力がどんどん落ちてしまいます。歩かないことでさらに機能の衰えが進むと、ちょっとしたことでも転倒しやすくなり、その結果骨折してついには寝たきりになってしまうというケースも少なくありません。
転倒を防止する事がもっとも大切
在宅でも施設でも介護の必要な状態の人に対して自分の足で歩けるように介助を行うのが歩行介助です。介護士が行う歩行介助は、介護される人にとって転倒などの事故を予防するだけでなく、自分自身の足で何とか立ち上がって体を移動させるという目的を達成させることで被介護者の自立心や自信を高める効果もあります。
元気だった頃のように自由に動かすことの出来ない自分の体に苛立ちを感じ、人によっては介助者に罵声を浴びせたり、自分から手を払いのけて転倒してしまったりするケースもあります。
そして一度転倒してしまうと、歩くことへの恐怖心が起こって、自分の足で歩こうという意欲がなくなり、そのまま寝込んでしまったり引きこもり状態になったりすることもあります。
本人に歩きたいという意思があれば適切な歩行介助によって歩く喜びを失わないようにすることが大切ですが、介護士が最も注意しなければならないのはやはり転倒を防止して安全性を確保することです。そのため、その人の体の状態に最もあった歩行介助の方法を見極めることが介護士の重要な役割になります。
被介護者の体の状態で異なる歩行介助の仕方のコツ
一口に歩行介助と言っても、その人の体の状態や環境によって最も適した方法は異なります。最もオーソドックスなのが介護士が被介護者と向かい合って両手をつないで介護士のほうが後ろ歩きになる方法です。これは被介護者の顔が見えるので表情などを観察しやすく、被介護者のペースに合わせてゆっくりと歩くのがコツです。
移動する距離が短く、転倒する危険性が高い場所などに適した方法ですが、介護士自身が後ろ向きで進むため足元の障害物などには十分注意が必要です。また、介護士が横に寄り添う形で行う歩行介助は支えられている被介護者自身が自力で歩くときのようにバランスが取りやすく、万一バランスを崩しても介護士のほうも前を向いているので体を支えやすい点がメリットです。
また、体の片側が麻痺している場合は麻痺のある側に立って歩行介助を行います。麻痺があるとどうしてもバランスを崩してしまいがちなので、転倒予防のためにも介護器具などを使用しながら歩行介助を行うことも時には必要です。
歩行を介助するときに注意したいポイント
被介護者の体を支えるときには力を入れすぎず、あくまでも本人のペースに合わせて進むようにします。また、基本的には本人に歩く意思がある場合に歩行介助を行うようにするのが基本で、もしも本人に歩く意思がないなら無理強いは禁物です。