介護の基礎知識
2016年08月18日
潜在介護士の復職支援!再就職への取り組みは人手不足対策になる?
介護業界では、慢性的な人手不足が問題となっています。日本の高齢者の人口は約3000万人にも登り、まさに高齢化社会となっています。介護を必要とする高齢者の数もどんどん増えています。
2012年の段階で、要介護認定者数は約450万人。この数字は、2001年の約2倍に相当します。2025年までに高齢化の数はさらに増えて、3500万人に、認知症高齢者は約320万人にも上るのではないかと言われています。このような高齢者や要介護認定者の数の増加に伴って、介護士の需要も増えていますが、その需要に反して介護業界では人手不足となっています。
参考:認知症とは
厚生労働省によると、2025年までに253万人の介護士が必要となると考えられています。しかし、2013年の段階で171万人と必要人数までにかなりの人材が足りていない状況です。
目次
- 1 人手不足になる原因は?
- 2
介護業界への復職を支援する取り組みに注目
- 2.1 復職希望者に向けた研修
- 2.2 マッチング支援の実施
- 2.3 再就職準備金制度
人手不足になる原因は?
肉体的負担が大きい
介護の仕事は、高齢者の簡単なお世話をするだけではありません。高齢者の体を持ち上げて身の回りのお世話をしたり、体を移動させたりと言うような力仕事が多く、勤務時間についても夜間勤務や早朝勤務があるなど不規則で体を壊しやすい点が、離職の原因となっている可能性があります。
待遇面の不満
介護の仕事は、待遇面に恵まれていない職場が多いのが現実です。ハードワークであるにもかかわらず、収入も少なかったり働き方の自由化が難しかったりと、労働環境と労働条件のバランスが悪いことが、離職につながっていることが非常に多くなっています。また、所有している資格や働いている職場によってはステップアップが難しいケースも少なくないため、長く働くにつれて介護の仕事への見通しができなくなり、離職を選ぶ人もいるようです。
介護業界への復職を支援する取り組みに注目
介護業界の人手不足を補うために注目されているのが、潜在介護士の存在です。潜在介護士とは、介護士の資格を保有しているにもかかわらず、介護とは無関係の仕事に携わっている人のことです。介護業界では、この潜在介護士の数が約45万人と非常に多くなっています。これは、介護士の資格を持っていても、何らかの理由で介護の仕事を選ばない人が非常に多いということです。
この潜在介護士の問題を解決することで、介護業界の人手不足はかなり解消されるのではないかと考えられています。そこで、潜在介護士の復職を支援するために、さまざまな取り組みが設けられています。
復職希望者に向けた研修
ブランクのある人も安心して現場に復帰できるように、復職を希望している人に向けて知識や技術を確認する研修が設けられています。これは、介護士に戻りたいけれど、周りについていけるかどうか不安、ブランクがあると働けないと思っている潜在介護士への対策です。忘れていた知識や技術を復習することで、ブランクのある人でも現場に復帰しやすくすることを目指しています。
マッチング支援の実施
介護士の仕事は、施設のカラーや責任者との相性が良いかどうかが労働環境に大きく関わってきます。そのため、よりその人にマッチした職場を紹介することで、介護業界への復職を促すことができると考えられています。マッチング支援によって、復職を促進するだけでなく離職率を大幅に減らすことも期待できます。
関連:介護業界の離職理由は低賃金より人間関係、介護職の離職率が高い原因に迫る
再就職準備金制度
潜在介護士の復職のために、今年度から再就職準備金制度が予算に組み込まれています。再就職準備金制度とは、再就職するにあたってかかってくる資金を上限20万円まで貸付される制度です。この制度の対象となるのは、介護職員として1年以上働いたことがある離職者で、介護福祉士などの一定の知識や技術があるとみなされた人です。この制度を利用するためには、福祉人材センターへの登録をする必要があります。