言語聴覚士
機能を専門的にサポートする言語聴覚士
「ことば」と「聞くこと・話すこと」「飲みこむ」機能を専門的にサポートする言語聴覚士は、略称STとも呼ばれ、最近注目されている資格の一つです。言葉に関する困難を解決に導くためのトレーニングプログラム作成、リハビリテーションや訓練の実務を担当します。名称から、主にことばの問題を支援するのがメインと考えられがちですが、同時に、食べ物を飲みこむ事に関わる「嚥下機能」の訓練と改善も重要な仕事の一つになっています。
高齢者の脳血管障害など病気が原因で言語機能が損なわれた場合のリハビリテーションのほか、先天的な困難で、聴覚・発語、発声に困難があるお子さんや成人の方の指導にも携わります。働く場所は医療機関から、教育機関、保健施設、デイサービスや介護福祉施設など広い分野にまたがっています。
実際の現場では、医療・保険・介護の専門職との連携によって、スタッフの一人として患者、障がい者(児)の支援、指導を行う形で働きます。医療専門職(医師、歯科医師、看護師、理学療法士、作業療法士など)保健・介護専門職(ケースワーカー、保健師、介護福祉士、介護援助専門員)のほか、養護教諭、教員、カウンセラーや臨床心理士とも連携する場合があります。近年ではコミュニケーションの困難についての理解が進み、きめ細やかな対応が求められる場面も増えてきています。勤務形態はフルタイムに限られず、施設によってパート勤務も行われています。
言語聴覚士の資格のメリット
言語聴覚士の資格は、現在注目度が急激にアップしているため、特にニーズが高い資格と言えます。そのため求人数が増加傾向を維持しており、習得しておくことで、就職先、転職先の幅が広がる点や、給与面での優遇が受けられるメリットが見込まれます。 前述のように、勤務先として教育機関からリハビリの分野、更には公務員、教員資格とあわせて取得することによって福祉関連の公的支援機関で活躍することもできます。
言語聴覚士の資格を取るには?
言語聴覚士の国家試験受験資格は高校卒業後、おおむね3つの進路があります。
- 文部科学省の指定学科を持つ短大、大学(3~4年制)を卒業
- 一般の4年制大学卒業後、指定学科の大学・大学院の専攻科ないし、2年制の専修学校を卒業
- 高校卒業後、都道府県知事の指定する言語聴覚士養成学校を卒業
- 言語聴覚士の養成に関する一定基準の科目を習得済みの人のための指定校を卒業
- 外国の言語聴覚士の学業を修了した者
の場合は、厚生労働大臣の認定を得ることで受験資格が取得できます。
試験は毎年2月に行われます。受験の開催地が北海道、東京都、愛知県、大阪府、広島県、福岡県の6か所のみなので、遠方では受験のための宿泊施設の手配なども必要になることを念頭に置いておくと良いでしょう。
合格率は全体では6割強なのですが、新卒は80%を超えて要るのに対して、既卒者は17~30%半ば程度と年によってばらつきがあります。養成校などを利用して受ける場合は、なるべく卒業後、間を開けずに受験するほうが有利と言えそうです。
言語聴覚士 資格取得者の声
2件の口コミ評判が見つかりました。
私の場合は教員でもあるので、仕事としては安定していると思います。地方ではまだまだ、言語聴覚士の人数そのものが少ないのに、要介護高齢者の方が増えて、募集はとても多いです。やりがいもあり、これから資格取得するなら、損はないと思いますよ。最近になって、発達障害児に注目が集まるにつれて、同じ「コミュニケーションの困難」といっても、ちょっと違った指導も求められるようになってきて、この資格の幅が広がった感じがします。
(31歳:女性 ろう学校教諭)
介護福祉士の資格も取り、リハビリ室勤務から始めました。その後、総合病院も経験して、今は自分の父親の介護のために転職し、短時間勤務をしています。自分の親の介護をするようになってから、介護やリハビリの仕事をしてきたことが、とても幸運に感じました。今の日本、いつかは親の介護が必要になると考えると、良い資格なんじゃないかと思います。
(40歳:男性 リハビリテーション病院勤務)