1. HOME
  2. 認知症認知症の対応認知症のよくある症状の原因と対応事例集!依存や徘徊、食べたことを忘れるなどのbpsd

認知症の対応

2017年09月25日

認知症のよくある症状の原因と対応事例集!依存や徘徊、食べたことを忘れるなどのbpsd

手を握る

はじめに、bpsdとは、Behavioral(行動の)and Psychological(心理的な)Symptoms(症状の複数形)of Dementia(認知症)という単語の頭文字を取った言葉で、認知症に伴って表れる行動や心理的な症状のことを指しています。

認知症の症状は人によって違い段階によっても変化するため、その都度の状態に合わせて対処することがポイント。起こりやすい症状や対応事例を知っておくと、急な変化にも対応でき自分の負担を減らすことにも役立ちますので、幅広い情報や知識を身につけておくと良いでしょう。

認知症の人と接する前に

認知症の症状には介護者を悩ませる事柄がさまざまにありますが、本人からのサインと捉えてみるのも良いでしょう。うつ状態になっていたり、妄想を引き起こしていたりすることもありますので、注意深く見てみると本人の状態を把握する際に役立ちます。

嘘をついたり、悪口を言ったり、という一見悪意のあるようなことも、本人にとっては自分の中で起こっていることへのつじつま合わせの場合もありますので、理由を理解することも必要です。わがままを言ったり、病院の受診拒否をしたりすることもありますが、根底には不安が隠れていることも。認知症の人への対応は、本人の状態や気持ちを理解する、ということが一つのカギです。

認知症で表れる「依存」について

認知症の人が感じる不安が強くなると、誰かに依存する状態が増えることがあります。一人になるのを嫌がり、常に介護者につきまとい、自分でできることも人に頼むなどで自立ができなくなると、さらに介護の負担が増えてしまうこともあるでしょう。ですが、イライラしてあたってしまうと逆効果になりますので、ストレスを感じても感情的にならないように解決策を考えて対応することがポイントです。

不安に感じている原因がわかればそれを取り除く工夫をしてみるほか、本人に何かできる役割を頼んでみたり、自分で何かを行うことは体を動かすことにもつながり本人のためになる、などの理由を伝えたりしていくのも良いですね。依存されている状態は大変なので、周りの介護者と協力して解決策を考えることも参考にしてみましょう。

お金への執着心について

お金に執着することは依存と似ている部分もあり、よく挙げられる症状の一つです。通帳や現金を隠したりするほか、隠し場所を忘れてしまうと誰かに盗まれたと思い込み興奮することもありますので注意が必要になるでしょう。

そのような場合には、妄想を本気で信じ込んでいることもありますので、否定することを避けるのがポイント。本人の言い分を受け入れ味方になるなど、濡れ衣を着せられても怒らずに対応し、一緒に探してあげたり、隠し場所を把握しておいて本人に見つけさせたりするのもコツです。

同じものを何個も買ってしまう

原因はいわゆる依存とは違う部分もありますが、買い物に行くとなぜか同じものばかりを買ってきて、冷蔵庫などに溜まってしまう、という状況もよく見られることがあります。買ったことを忘れて買ってしまう、必要だという認識が強く買ってしまう、以前の習慣の特定の意識が残っていて買ってしまう、などの場合があるでしょう。

このような時には、すでに買ってある、ということをわかってもらうためのメモを用意して見てもらったり、明日買うことにしている、というアドバイスをしたり、という工夫もあります。お店の人に協力してもらう方法もありますので、臨機応変に対応しましょう。

「徘徊」をする認知症の人への対応

精神状態が安定せず不安を感じると徘徊につながる場合がありますが、理由はそれぞれの人によって違いもあるため、原因を探してみると役立つでしょう。徘徊にも目的の種類があり、出かけたい、という視点のほかに、家に帰りたい、ここにいたくない、仕事に行かなければいけない、などが引き金になることもあります。

多動になりじっとしていること自体が難しい場合、記憶が曖昧になることで存在しない場所を目的としている場合もあるでしょう。夜に徘徊する場合には、夜間せん妄が原因になっていることも。本人が安心して暮らせる、または楽しめることがあると徘徊が減ることもありますので、環境の工夫を心がけてみるのも良いですね。

歩くこと自体は体のためにメリットになることもありますので、無理に止めたり、強制的に外出を防いだりせず、本人の意思を尊重しながら安全に配慮して見守ることもポイントです。とはいえ、外出は行方不明や事故の危険性などもありますので、服に名前を付けたり、連絡先がわかるものを身に付けてもらったりしながら、十分に気を付けてサポートしていきましょう。

対応としては、なぜ外出したいのか、本人によく話を聞いてみるのも役立ちます。どこに行きたいと思っているのか、などを聞いて理由を探ってみましょう。本人の考えていることや徘徊の理由を見つけることで適切な対応ができることもあります。合わせて、徘徊を止める時には、納得してもらえるように話し方や説明を工夫して行ってみましょう。

食べたことを忘れてしまう場合には?

認知症で記憶が残らない、などの原因から引き起こされる症状です。昔のことよりも最近のことを覚えていない、というのは認知症では初期段階に見られるめずらしくないことで、同じ話を何回もしたりするように食事のことも覚えていない時があります。

対応としては、本人は覚えていない、ということを認識し、間違いを正すような言動をしないように気をつけることが大切。本人にとっては全く記憶にないことのため、間違っていると言われても理解できず、嫌な気持ちだけが残ることがあります。物事の記憶は残らないのに感情は残る、というやっかいな面もありますので、感情にまかせて対応してしまうのは避けましょう。

記憶が残らないということは、本人にとっても不安要素となっていることがありますので、自分の記憶や感覚と違う指摘をされると興奮状態になる場合もあります。そのため、「さっき食べた」という事実を主張するのではなく、食べていないということから気をそらすことに集中して対応するのも良いでしょう。

例えば、「今準備をしているので待っていてください」と言ったり、健康上の問題がなければフルーツなどの気を紛らわせる程度の食べ物を用意して、食べて待ってもらったりするのも良いですね。

食べ過ぎてしまう時

食べたことを忘れてしまうのでさらに食事を用意して気を紛らわせていると、食べ過ぎになってしまうこともあります。また、本人が勝手に食べてしまう場合もあるでしょう。こまめに食べてしまう時には、一回の食事の量を減らして分割し、食事の回数を増やす方法があります。ほかには、食べることから気をそらして、興味の対象を別に探すのも良いでしょう。

食べ物があると食べてしまう時には、目に付かないところに置く、探しても見つからないようにするなどの方法もありますが、延々と探し回って困る場合もありますので、状況に合わせて環境を工夫することもポイント。食べてもそれほど影響のない食べ物を見つかりやすい場所に置く方が解決が早い場合もあります。

また、異食をしてしまう時には、食べられないものを無理に取り上げるのではなく、興味を失うように努力しましょう。普段から目に付かないところに置くほか、見つかってしまった時にも、「食べられない」と言うのではなく、食べられるものを見せて「こっちの方がおいしい」とアピールするのも役立ちます。