認知症の対応
2017年06月19日
帰宅願望の原因と対応方法!認知症の症状で自宅にいても家に帰りたい夕暮れ症候群とは
帰宅願望は徘徊などの原因にもなり、非常に危険を伴います。帰宅願望はどのような原因で起こるのでしょうか。その原因と対応方法をご説明します。
目次
- 1 帰宅願望、夕暮れ症候群とは
- 2
夕方に症状が出やすい理由
- 2.1 暗くなる不安
- 2.2 夕方は忙しいという習慣
- 3
帰宅願望が起こる原因
- 3.1 居心地が悪い、落ち着かない
- 3.2 理由は人それぞれ
- 4
帰宅願望の対応方法
- 4.1 「帰れない」は絶対ダメ!
- 4.2 他のことに意識を向ける
- 4.3 ご本人の話をじっくり聞く
帰宅願望、夕暮れ症候群とは
施設の利用者が夕方になると「家に帰りたい」と言い出したり、中には実際に施設を出る人がいます。帰宅願望と呼ばれる認知症の症状のひとつで、家ではない場所にいるから「家に帰りたい」と訴えているだけではく、自宅にいても「帰りたい」と訴えたり実際に外に出てしまいます。
他にもソワソワしはじめたり怒りっぽくなったりという行動も見られます。夕方近くになると帰宅願望の症状が表れることが多いことから「夕暮れ症候群」「夕方症候群」とも呼ばれていますが、日中でも症状が出ることがあります。
夕方に症状が出やすい理由
暗くなる不安
認知症の人は、記憶障害や見当識障害などによって、自分がそこにいる理由や今がいつなのかがわからなくなっていることがあります。これは、本人にとっても不安を感じることです。そこに、日が暮れてあたりが暗くなるという状況が加わると、不安は更に大きくなってしまうため、ソワソワしたり「急いで帰らなければ」という心理状態に陥ってしまうのです。
夕方は忙しいという習慣
子どもの帰宅時間だったり、サラリーマンの終業時間だったり、主婦の夕食準備など、夕方になると誰でも忙しいものです。何十年もの生活で「夕方は忙しい時間」と体内に刷り込まれている習慣は、認知症になったからといってなくなるものではありません。そのため、夕方になると無意識のうちに「帰らなければ」という意識が働くのです。
帰宅願望が起こる原因
居心地が悪い、落ち着かない
慣れない介護施設にいたり、家族の急な同居や引っ越しなど、環境が変わると落ち着かず、帰宅願望を訴えることがあります。これは誰にでも起こり得ることですが、認知症による帰宅願望は、自分の居場所がないと感じた場合や模様替えで部屋の雰囲気が変わった場合など「自宅ではない」と感じることがあると自宅にいても症状が出ます。
理由は人それぞれ
帰宅願望を訴える人の中には、「仕事に行かなければならない」と言う人や、「帰って子どものご飯の用意をしなければならない」と言う人もいます。帰宅願望において帰りたいと思う理由は人それぞれで、「○○だから帰りたい」ときちんと理由がある人が多いのですが、中には上手く意思を伝えられず「わかってもらえない」と怒り出したり、どこへ帰りたいのかが自分でもわかっていない場合もあります。
帰宅願望の対応方法
「帰れない」は絶対ダメ!
帰りたいと言っている相手に「帰れないよ」と言ったり、自宅に連れて帰ったのに納得してもらえなかったときに「ここが自宅でしょ」などと否定するような発言は不安を煽るため、ますます帰宅願望が強くなってしまいます。場合によっては暴力や暴言に繋がる可能性もありますので、絶対に言ってはいけません。
他のことに意識を向ける
帰宅願望は、何かに夢中になっているときは起こりにくい傾向があります。帰宅願望を訴えそうな時間に合わせて趣味を楽しんでもらったり、積極的に声をかけて会話をすると良いでしょう。
どうしても帰宅すると言って聞かないときは、一緒に施設を出て帰宅するふりをしながらお散歩してみてください。途中で「もう遅いから泊まって行って」、「ご飯を作りすぎたから食べていって」などと声をかけ、まだいて欲しいという気持ちを伝えてください。
ご本人の話をじっくり聞く
帰宅願望を訴える人の多くに、帰宅したい理由があります。「仕事が終わったから家に帰る」、「ご飯を作らないといけないから」といった理由の場合、「イキイキと過ごしていたその時代に戻りたい」という願望が隠されていること多いようです。
この場合、ご本人を家に連れて帰っても納得してくれません。その時は、その頃の話をじっくりと聞いてあげるのも一つの方法です。居心地の悪さや孤独感がなくなり、帰宅願望の解消につながることがありますよ。