認知症の対応
2017年06月19日
独り言が増えるのも認知症の症状?独語の原因や気になる対応方法を知っておこう
高齢者の独り言は認知症の症状の一つです。しかし、独り言を言ったからといって必ずしも認知症というわけではありません。今回は独語の原因や対応方法についてご説明します。
目次
- 1 高齢者の独り言には要注意
- 2
独語の原因
- 2.1 妄想や幻覚、幻聴
- 2.2 せん妄が幻覚や幻聴を起こす
- 3
独語の対応方法
- 3.1 不安や苦痛を取り除く
- 3.2 否定しない、咎めない
- 3.3 五感を刺激する
- 3.4 水分・栄養補給
高齢者の独り言には要注意
高齢者が独り言を言っていたら、その内容や状況を観察してみてください。最近の出来事や過去の出来事に対しての独り言であれば、一概に問題があるとは言えません。独り言の中でも特に気にしなければならないのは、内容や状況が理解できない独り言です。
同じ言葉を繰り返しているだけの場合や、妄想が原因の内容の場合、独語と呼ばれるもので、認知症の症状である可能性があります。ひどくなると、朝から夜中でも止まらなくなり、静かなのは唯一食事中だけというケースも少なくありません。
独語の原因
妄想や幻覚、幻聴
認知症になると、妄想や幻覚、幻聴といった症状が現われ、それに対して何時間も会話することがあります。大人しい人や素直な人など自己主張が少ない認知症高齢者に見られることが多く、中には、自分で独り言を話しているのがわかっていても止めることができずに苦しんでいる人もいます。声は大きくダミ声であることが多いため、周囲の人にとっては騒音に感じられることがあります。
せん妄が幻覚や幻聴を起こす
認知症の症状に「せん妄」というものがあります。意識障害が起こり、頭が混乱した状態になります。せん妄の状態では、幻覚や幻聴が起こりやすく、独語に繋がることが多いようです。せん妄は認知症が原因だとは限らず、脱水や栄養不良、心理的なストレス、薬物によっても起こります。
夜間の暗さや静けさ、気温の低さに対して不安を感じることで、夜間にせん妄の症状が悪化してしまう「夜間せん妄」が独語の原因となっていることもあります。せん妄の症状が改善されれば、独語も改善されるでしょう。
独語の対応方法
不安や苦痛を取り除く
認知症の独語は不安や苦痛が原因になっていることも少なくありません。ですから、不安をできるだけ取り除いてあげましょう。そばで体をさすってあげたり、暗さに不安を感じているようであれば電気をつけてあげると良いですね。
また、ベッドや車いすのポジショニングも本当にその人に合っているか、見直してみてください。ポジショニングを変えるだけで、独語に変化が見られる場合もあります。急激な環境変化、介護士の対応なども不安を与える原因になりますので、できるだけ不安を与えないようにすることが大切です。
否定しない、咎めない
妄想や幻聴、幻覚による独語の場合、本人にとっては「本当に起こっていること」です。私たちには相手や状況が見えなくても、独語であっても言葉を口にするということは、何かしらの思いがあるはずです。独語を否定したり咎めてはいけません。話を合わせながら聞いてあげ、ゆっくりと穏やかに話しかけてみてくださいね。
五感を刺激する
独語で自分の世界に閉じこもっている人は、閉じこもることで現実を遮断し、自分を保とうとしている場合があります。そういった人を強引に現実に引き戻そうとすると、ますます自分の殻に閉じこもってしまいます。殻を破ってもらうためには、生きている喜びを実感してもらうことが大切です。
アートセラピーや学習療法、音楽療法などの五感を刺激するリハビリテーションを行うと良いでしょう。また、散歩に連れ出すのも効果的ですし、散歩するときには手を握るなど、介護の際には積極的にスキンシップを取るのもおすすめです。
水分・栄養補給
高齢者は水分補給が少なくなってしまいがちです。食事も上手に食べられずに栄養不良になることがあります。水分・栄養が不足するとせん妄になり、独語の原因にもなりますので、水分がきちんと取れているか、栄養が不足していないかをチェックするようにしましょう。排便の回数も確認しておくと良いですね。