認知症の対応
2017年05月16日
認知症の薬は飲まないとだめ?飲まないときなど薬に関する認知症の対応方法
介護はたとえ血のつながった自分の親であっても、介護者にとって大きな負担になる事の多い仕事です。そして認知症を発症した人の介護はさらに介護者にとって精神面での疲弊を招くケースも少なくありません。
認知症の治療のためには適切な服薬管理が欠かせないのですが、認知症の人だからこその服薬管理の難しさがあり、それはあらゆる認知症患者に起こり得ることです。認知症の人のだれもが抱える問題であり、克服するためにはさまざまな工夫が求められます。
認知症の人の介護の原則
認知症の人を介護するうえで大切な事に、事実に関する二つの大原則があります。それは本人の記憶になければたとえ事実でも本人にとっては事実ではないと言う事と、本人が思ったことはたとえ事実とは異なっていても本人にとってはゆるぎない事実であると言う事です。
記憶障害からくる事実の認識が困難になる症状は認知症の人の多くに見られる症状の一つで、食事を食べたことを忘れてまだ食事をしていないと言ったり、被害妄想が拡大してお金を取られたと言い張ったり、薬に関してもすでに飲んでしまっているのにまだ飲んでいないと言い張ったりすることが日常的によくおこると言われています。
他のことはともかく、服薬に関することは時に健康を損なう事にもつながりかねないので、どうすれば認知症の人の服薬管理をスムーズにできるかを真剣に考える必要があります。はたから見れば嘘をついているようにしか見えない場合でも、本人にとってはそれが事実なのだと言う事を一旦は認めることで、まずは本人を安心させることが大切です。
薬の飲み忘れや飲み間違いを防ぐためにできる事
薬を飲み忘れたり飲み間違えたりすることは認知症の人には良くあることです。けれど、もともと複数の薬をきちんと指示通りに正しく服用するのは、認知症ではない人にとっても難しくわずらわしい事です。複数の薬を確実に正しく飲むための方法の一つに薬局で一包化してもらう事があります。若干の費用負担はありますが、薬の飲み間違いを防いだり、飲み方を誤ったりするリスクを減らすことができます。
たとえ若い年代の人でも、どのタイミングにどの薬とどの薬を飲むかを管理するのはとても根気のいるものなので、服薬ボックスやお薬カレンダーなどを上手に活用して本人の目に入りやすいようにしておくことも有効です。家族との距離感などによっても異なりますが、本人の自分はまだできると言うプライドを傷つけずに済むようなやり方で服薬が済んだか確認することも飲み忘れなどを防ぐためには効果的です。
そして訪問薬剤師に服薬状況を把握してもらったり、訪問介護やデイサービスなどのスタッフに服薬を依頼するなど、プロの手を借りる事で服薬管理が難しくなった人でも安心できる可能性が高まります。
薬を飲みたがらないときの工夫の仕方
幼い子供がお薬を飲むのが苦手なように、認知症の人の中にも服薬を嫌がるケースがあります。ただしその理由が被害妄想からくる場合は無理やり飲ませようとしても服薬が上手くいかない事も考えられるので、服薬の進め方に工夫が必要です。
また、身体的な機能低下の為に服薬がスムーズにできなくなることから飲みたがらなくなることもあります。その際は飲みにくさを解消できるようにゼリー状のものと一緒に飲ませるなどの工夫で乗り切れる可能性があります。また薬そのものを飲みやすい形状のものに変えてもらう事も出来ます。
どうしても服薬管理が難しい時には貼付薬や座薬などに変えてもらう方法を選択することも効果的です。しかし、本人が薬を飲むと気分が悪くなるなどと言って服薬を嫌がる場合には、副作用が出ていたり、新たな病気の可能性を疑う必要があります。このような場合にはまずは医師に状況を報告して指示を受ける事が大切です。