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認知症の薬

2017年08月28日

認知症の薬物治療の薬ってどんなもの?薬の種類別にみる効果や副作用などの特徴一覧

様々な薬

年齢を重ねてゆくほどに発症のリスクが高まるだけでなく、若い年代でも発症の可能性があると言われる認知症は、現在そのメカニズムの究明が進んでいますが、発症した認知症を根本的に治すための治療法は確立していません。

ただし薬によっては認知症の症状を改善したり、認知症が進行するのを抑制する効果が期待できるケースもあるため、認知症の治療を受けている人の中には薬を処方されて服用している人が少なくありません。ただしどんな薬にも言える事ですが、副作用による症状の悪化の可能性が指摘されているのもまた事実です。

認知症の薬を服用することのメリットとデメリット

認知症の治療には薬物療法にあたって適切なケアとリハビリテーションの検討を行う事が推奨されています。そして薬物療法を開始してからも、副作用の有無を含めて、どのような変化が現れるかを正確に記録し定期的にチェックすることが求められています。

服薬によって認知症を発症した人の多くに見られる中核症状の緩和や改善に効果がある反面、高齢者の場合、薬を服用することによって過剰な反応が現れたり副作用が生じるリスクがあるため、服用を始めてからも定期的に効果をチェックすることが欠かせません。そしてその結果薬の種類を変えたり、処方する量や服用する期間などをそれぞれの状態に合わせてきめ細かく診断することが求められています。

薬を服用する際に注意が必要な事

認知症の治療によく使用されドネぺジルに関しても、認知症そのものを根治するものではなく、認知症によって現れる症状の緩和などあくまでも対症療法として使用する薬であり、認知症の進行を薬物療法によって多少抑制するにとどまるものにすぎません。

そして、ガイドラインには認知症そのものを根治する治療方法が確立していない現在は薬物療法での対症療法に加え薬物療法以外の方法で補う事の必要性も示されています。

薬をうまく活用することで認知症の進行を抑制したり認知症によって起こる症状を改善する効果が期待できるため、介護者を悩ませるさまざまな症状を抑え介護の負担を軽減することにつながる可能性は少なくありません。

ただし、根治ではなくあくまでも対症療法である事、そして薬による効果の現れ方には個人差がある事、さらに薬を服用することで副作用の心配がある事を認識しておく必要があります。

高齢者の場合過剰な服用によって症状がさらに悪化してしまったり、重症化して寝たきり状態になってしまったケースもあるため、薬物治療を受けるにあたっては安心して相談できる信頼できる医師を見つける事が大切になります。

認知症の薬物療法に使用される代表的な治療薬

認知症の中核症状に対する治療薬は主に4種類です。興奮を鎮めるためのアセチルコリンエステラーゼ阻害薬にあたるのがアリセプト、レミニール、リバスチグミン、そして覚せい作用が強いNMDA受容体拮抗薬のメマンチンの4種類がこれにあたります。

ドネぺジル(アリセプト)

アルツハイマー型認知症の治療に有効な薬として最もよく使用されるのがドネぺジルです。アリセプトと言う商品名で発売された薬で、現在では多くのジェネリック薬品も発売されています。

ドネぺジルは主に記憶力の回復に効果があり、早期に薬物利用を開始することでアルツハイマー型認知症の進行を遅らせる効果が確認されています。食用不振や嘔気、嘔吐、下痢などの消化器系の症状を起こす副作用があり、初期の頃には脳内の刺激から興奮したり落ち着かなくなるなどの症状がみられる事もあります。

メマンチン(メマリー)

メマンチンは三共製薬からメマリーと言う商品名で発売された薬品です。アルツハイマー病で中程度以上の症状に対して効果があり、認知機能障害の進行を遅らせる効果があると言われています。徘徊などの進行や慣れ親しんだ日常的な動作が出来なくなる症状を抑制する効果が期待できる薬です。

ドネぺジルと同様に脳内の神経伝達作用を助ける働きをするのですが、認知症が市中程度まで進行した状態の患者にはドネぺジルとは異なる働きをするメマンチンを併用することで相乗効果が期待できると言われています。

メマンチンの服用を開始した当初の時期にめまいが生じる事が代表的な副作用としてよく知られていますが、めまいが起こる事によって転倒などの事故につながらないように、より注意することが求められます。

ガランタミン(レミニール)

ガランタミンは軽度から中等度のアルツハイマー型認知症に対して効果が期待される薬です。ドネぺジルやバスグチミンよりも薬の効果が持続する時間が短く約7時間程度となるために、一日のうちで朝と晩の2回に分けての服用が必要です。食欲低下や下痢、めまいなどの副作用があるとされています。

リバスチグミン(イクセロンパッチ、リバスタッチパッチ)

リバスチグミンはドネぺジル同様に脳内の神経伝達物質を補助する働きがあり、アルツハイマー型認知症の進行の抑制に効果的だとされる薬品です。商品名ではノバルチスファーマ株式会社のイクセロンパッチ、小野薬品工業株式会社のリバスタッチパッチの2種類があります。

リバスチグミンの最大の特徴は、他の薬のような飲み薬ではなく貼り薬だと言う点で、服薬によって下痢などの症状が強く出る人や、嚥下作用が低下して服薬が困難な人にも適しています。

ただし、同じ場所に貼り続けると皮膚が湿疹などの障害を起こす可能性があるので継続して使用する際には注意が必要です。服薬タイプではありませんが、嘔吐や悪心などの消化器系の障害に加え、不眠やめまいなどの副作用も報告されています。

行動心理症状に対する薬

グラマリールは鎮静作用のある薬で攻撃性や衝動性を抑制し、興奮状態を落ち着かせる効果の期待できる薬です。作用時間が短いため服用しても肝臓の影響も受けにくいことから高齢者にも使いやすい薬とされています。認知症による暴言や暴力、徘徊、大声で叫ぶなどの症状を緩和する効果が期待できます。

また、抗コリン作用が弱くせん妄を改善する効果が期待できます。グラマリールは高齢者にとってメリットの大きな薬ではありますが眠気やふらつきが起こる、飲み込む力が弱まって誤嚥性肺炎を起こすリスクがあるなどの副作用があると言われています。

その他にもリスぺリドンやオランザピンなどの向精神薬には興奮作用のある神経伝達物質の働きを抑えたり、幻覚や興奮せん妄などを抑制する効果が期待されます。

使用に際してはふらつきや筋肉のこわばり血糖値の変動によって昏睡や意識障害を起こすなどの副作用の可能性があるとされています。その他には抗不安薬のクロチアゼパムや副作用の少ない漢方薬なども注目を集めています。

薬に対する思い込みの危険性

認知症を根治する薬は現在の所まだ確認されておらず、いずれの薬も認知症による症状を抑えたり遅らせたりすることを目的に処方されるものです。処方にあたっては服用した結果どのような症状が出たかを注意深く確認しながら必要ならば服用量を増やすなどの措置を取る事となりますが、副作用による二次的被害が懸念されるようなケースの場合は薬を中止するなどの選択も考えられます。

確かに様々な副作用の弊害などが心配されるのが薬を服用することのデメリットの一つですが、だからと言って薬に対して危険だから一切使いたくない、あるいはたくさんの薬を使用すれば安心などのように極端な思いこみを持つことはとても危険です。必ず専門医や薬剤師に症状を正確に伝え、必要に応じて服用量を調整するなど適切な指示に従って服用することが何よりも大切になります。