認知症の薬メマリーの気になる効果や副作用は？アリセプトとの併用や違いを比較

記憶の低下などの中核症状が顕著に表れるアルツハイマー型認知症の治療のためには、現在は薬によって進行を遅らせる治療法が中心です。しかし、認知症治療薬を服用したり有効成分を皮膚から取り入れる治療法を受けていても、認知症そのものを完治するのではなくあくまでも症状の進行を緩やかにするなどの効果を期待して行われるものです。現在治療に使用される薬には、作用の種類が異なるものがあります。

アルツハイマー型認知症治療薬の種類

現在アルツハイマー型認知症などの治療薬として使用されている薬は主に4種類あり、そのうち最も認知症治療薬としてよく知られるアリセプトを含む3種類が、脳内のアセチルコリンの濃度を高める事によって認知症が進行するのを抑えるものです。

それに対してメマリーは4種類のうち唯一他の3種類とは異なるアプローチによって治療を行うもので、脳内のアセチルコリンを増やす作用に対して脳内の過剰なグルタミン酸の生成を抑える作用によって認知症の治療に効果を発揮するものです。

メマリーの特徴とアリセプトとの違い

メマリーにはアミノ酸の一つであるグルタミン酸が過剰になる事で脳内の神経を傷つけ興奮や異常行動などを起こすことに着目し、グルタミン酸が過剰になるのを抑制することで認知機能の低下を抑える効果があるとされています。さらにメマリーには認知症の症状の一つとして起こる攻撃性の進行を遅らせたり攻撃性が起こるのを予防する効果も認められています。

アリセプトをはじめとする薬が脳内のアセチルコリンの減少を抑えるためにアセチルコリンを分解する酵素の作用を抑える事で認知機能の低下を遅らせる方法であるのに対し、メマリーは脳内のグルタミン酸が過剰になる事で脳神経細胞がダメージを受けるのを防ぐ方法と言う違いがあります。

メマリーとアリセプトを併用することの効果

メマリーはアセチルコリンを分解する酵素の働きを阻害する効果とは異なりグルタミン酸の過剰放出を抑える作用であるために、認知症治療に際してはアリセプトなどとの併用が可能なところがメリットの一つです。特にアルツハイマー型認知症が中程度まで進行した状態でメマリーと併用することで相乗効果があるとも言われています。

そのため、認知症の治療のためには最初からメマリーが処方されるよりも、アリセプトなどの投薬治療からメマリーに変更する、あるいはアリセプトとの併用に移行する方法が中心です。ただし、診断時にすでにアルツハイマー型認知症の進行度が中程度以上と診断される場合には、最初からメマリーが処方されるケースもあります。

メマリーの副作用と服用時の注意

通常メマリーは初期のアルツハイマー型認知症に対しての効果は低いと言われ、例外を除いて初期にはアリセプトなどを中心に投薬を行い、その後メマリーとの併用へと移行するのが一般的です。

アリセプトなどの服用に際しては嘔吐や下痢などの消化器系の副作用が中心になりますが、メマリー服用時の副作用としては飲み始めのころにめまいの症状を起こすのが最も多く、認知症により危険認識力が低下した状態でめまいを起こすと重篤な事故につながる可能性もあるので、服薬に際しては注意が必要です。

そのほかにメマリーの副作用として考えられる症状には頭痛や眠気、食欲不振、便秘、血圧の上昇などが挙げられます。さらにごくまれに痙攣や失神などの重篤な精神症状が起こる事も考えられるので、医師の指示によってメマリーの服薬がスタートしたら、しばらくは本人の様子に変化が起こらないか注意深く観察することが大切です。もしもいつもと著しく異なる変化が起こった場合には主治医に相談する必要があります。