認知症の薬
2017年05月15日
認知症の貼り薬イクセロンパッチ、リバスタッチパッチって?効果や副作用、特徴を知ろう
認知症治療は薬物療法が中心で、抗認知症薬、精神病薬、抗不安薬など様々な薬が使われていますが、どの薬物も根本的に認知症そのものを治療するものではなく、症状の進行を抑えたりやわらげたりする効果を期待するものです。認知症の治療薬としては服薬タイプのものが一般的によく知られていますが、現在パッチ製剤として開発された貼り薬タイプの認知症治療薬もあります。
イクセロンパッチ、リバスタッチパッチとはどんなもの?
アルツハイマー型認知症の症状の進行を遅らせたりやわらげたりする効果のある薬で、製薬会社の違いによってリバスタッチパッチ、イクセロンパッチと言う製品名で販売されています。これらは数ある認知症治療薬の中で唯一の肌に直接貼るタイプの薬である点が最大の特徴です。
認知症治療薬としてよく知られるアリセプトなどと同じく脳内のアセチルコリンエステラーゼの働きを抑制する作用のある薬で、薬を内服するのが難しい場合や内服薬の管理を適切に行うのが困難な場合にも管理がしやすいなどのメリットがあります。
貼り薬を使用するメリット内服薬との違い
認知症治療のための内服薬は服用した直後に成分の血中濃度が急激に上がる事で吐き気などの消化器系の副作用が強くあらわれやすいと考えられたことから、皮膚から成分が緩やかに吸収される貼り薬が開発されたものです。
服薬の場合は処方通りに服薬できるように管理するのが難しく、飲み忘れや過剰服用なども起こりやすいのがデメリットですが、貼り薬の場合は内服薬と違って使用状況を確認しやすいと言うメリットがあります。内服薬よりも成分がゆっくりと吸収されるため血液中の成分濃度が急激に変化しないことにより副作用の出方が軽くなると考えられています。
また、認知症患者の中には薬の服用に抵抗感のある人もおり、貼り薬なら介護者などがその人に合わせて処方通りに適切に使用することができます。また飲み薬と異なり万一副作用が強く出た時などには剥がすことで成分の吸収を調整できるのが特徴です。
期待できる効果や副作用
脳の神経伝達物質の一つのアセチルコリンが脳内で減少することで認知症を発症するとされていますが、脳内のアセチルコリンを分解する酵素の働きによって、もともと少なくなっているアセチルコリンをさらに減少させてしまう事でさらなる症状の悪化を招くことになります。
イクセロンパッチ、リバスタッチパッチに含まれる成分の働きによって、アセチルコリンを分解する酵素の作用を抑える事で、認知症の進行を抑える効果が期待できます。
内服薬よりも成分の浸透が緩やかな分消化器系の副作用などのリスクは低いとはいえ人によっては嘔吐などの症状が出る事もあります。また、貼り薬のため貼った部分の肌にかゆみや赤みが出るなどの皮膚症状が副作用としては代表的です。
使用する際に注意したい事
使用後のパッチの粘着面には薬の成分が残っているため、剥がしたパッチを誤って体に貼ったりする心配のないように内側に折りたたむなど確実なやり方で破棄することが必要です。基本的には一日1回貼るという使用方法ですが、貼る部分の皮膚にトラブルがないかを確認してから使用するようにします。
使用後に肌に赤みが出たりかゆみが続くなどの症状があれば主治医に相談することも大切です。皮膚に様々な症状が出るのを予防するためにも新しいパッチを貼る際には続けて同じ場所に貼らないようにすることも皮膚トラブルの副作用を避けるためには有効です。
さらに、心疾患や消化器疾患、肝機能障害などがある場合や現在治療中の病気や服用中の薬がある場合には必ずその旨を主治医に報告することは何よりも重要です。