認知症の検査
2017年08月21日
認知症予備軍も血液検査でわかる?軽度認知障害(MCI)の検査方法やチェック方法
誰にとっても他人事では済まされない現実的な問題として関心の高い認知症ですが、様々な研究によってそのメカニズムの解明が進み、進行を予防する治療法なども見つかっています。そして現在では将来自分自身が認知症を発症するリスクを調べる事の出来る血液検査も登場しています。
軽度認知障害を早期発見するための検査
認知症の進行を予防するためには自覚症状がない軽度認知障害の段階で日常生活の中での予防意識を高める事が重要だと言われています。
しかし、認知症の存在が広く知られるようになって誰にでもかかる可能性のある病気だと言う事が理解されるようになってもなかなか症状の出ないうちから対策を取るのは難しいものです。でも、認知症の自覚症状がない段階でも血液検査をすることで軽度認知障害(MCI)を早期に発見することができます。
わずかな血液を採取して調べるだけなので、本人の体への負担も少なく将来の認知症のリスクを知る事が出来る方法です。ただし、現在の所この血液検査は健康保険の適用外となるため、検査費用に関しては自費診療の扱いとなります。
アルツハイマー病の特徴とそのリスク判定
認知症の一つであるアルツハイマー型認知症は認知症患者全体の約6割を占める病気だと言われ、特に女性に多いのが特徴の一つです。アミロイドβと言う特殊なたんぱく質が20年もの歳月をかけて少しずつ脳内にたまる事で発症することが判明しています。
アミロイドβは神経細胞にダメージを与え、記憶や認知機能を担うシナプスに障害を与えると言われています。アルツハイマー型認知症によって脳の異変が起こると記憶障害などの症状が起こります。実際には記憶障害が発生するかなり前から脳内ではすでに異変が起こっていると言われています。
そしてそれは誰の脳内でも発生するものなのですが、本来はアミロイドβが発生しても脳内からうまく排出することが出来たり、その毒性を弱くする仕組みがもともと体には備わっているものなのです。
血液検査によってチェック出来る事
アルツハイマー型認知症の予備軍、軽度認知障害(MCI)を発見するために、血液検査によってこのアミロイドβの排出や毒性を弱める仕組みに関わるたんぱく質を調べる事が出来ます。
わずかな量の血液を採取して調べる事で、初期の段階からMCIの兆候をとらえる事が出来ます。そして血液検査を受ける事によって画像診断でしか異常が分からない無症状期の一部や、MCI、アルツハイマー病初期のリスクの判明が可能だとされています。
チェックするのはまずアミロイドβを脳から髄液中に排出するタンパク質、アミロイドβを食べて処理するタンパク質、アミロイドβにくっついて毒性を弱めるタンパク質の3種類です。この3種類のタンパク質の機能が低下すると結果的に認知機能障害につながると考えられており、MCIなどの患者ではその数値が低下することが判明しています。
この血液検査の結果は4段階に判定され、MCIのリスクが中程度あるいはリスクが高い可能性があると判定された場合、なるべく早期の段階で専門の医療機関を受診して詳細なテストを受けるなどの対策をとる必要があります。
そして認知力を高めるプログラムに参加するなどの対策をとる事も有効です。早期発見はどんな病気でも大切な事で、認知症に関しても早期に適切な治療を開始することがその後の症状の進行具合に大きな影響を与えます。
そして、症状が起こってから病院に行くのではなく、早い段階で自分自身の認知症のリスクを知ったうえでこうしたプログラムに参加することは認知症の症状の進行を抑えるだけでなく、認知症の発症に対する不安を抱え込んで悩んでしまうのは自分だけではないのだと勇気づけられる効果が期待できます。