認知症の検査
2017年07月07日
認知症の検査方法の種類と特徴まとめ!テストや血液、遺伝子検査やアプリ、検査キットなど
以前よりも明らかに物忘れが激しくなってきたように感じるし、人の名前がなかなか思い出せないようになった…年齢を重ねてゆくほどにこうした悩みを感じる人が増えてくると言われます。認知症と言う病気が広く知られるようになった現在でも、まさか自分はまだ認知症にかかっているわけではないと思いたい気持ちは誰にでもあり、そのことが認知症の発見を遅らせる事につながる可能性があります。
認知症は早期に発見すれば症状の進行を抑えられる病なので、他の病気同様に早期に発見して早い段階で適切な治療に結びつけることが重要です。そしてそのためには認知症の可能性を検査することが大切な意味を持ちます。
目次
もしかして認知症?その検査の方法にはどんなものがある?
認知症と診断するための検査は、例えば体の不調を診断する時のように血液検査や尿検査などによって数値で明らかに示されるものとは異なり、診断にあたっては様々な検査方法があります。
診断にあたっては医師による臨床症状やMRI、CTなどの画像検査、血液検査、脳波検査などの複数の検査の種類を組み合わせ、総合的に評価することが必要です。こうした検査に加え、近年では遺伝子検査や骨髄液検査などを検査項目に取り入れる方法の実用化も進んでいます。
認知症のための様々な自己診断の検査方法も紹介されていますが、認知症の最終診断にあたっては専門医による正式な診断が必要です。そして診断にあたっては検査の種類や利用される検査内容が多岐にわたっているだけでなく、診断基準そのものも様々なものがあるため、一つの診断だけで認知症と判断するのではなく、複数の診断を複合して最終的に認知症の診断が行われるのが一般的です。
認知症の診断基準にはどんなものがあるか
認知症の診断にあたっては患者本人に関する様々な情報が必要になるため、認知症の診断のためのガイドライン以外にも認知症テストや画像診断、脳波や血液検査などあらゆる項目の検査結果を総合して最終的に診断がなされます。
認知症の診断のためのガイドラインとして活用される代表的なものにDSM-4、DSM-ⅢR、UCD-10があります。記憶や認知機能のテストは主に認知症による記憶力の低下を診断するために複数のテスト方法が活用されますが、本人の状況や認知症によると思われる症状のあらわれかたの程度などによって使われるテストの種類が変わってくると言われます。
そして脳の機能などの状況や原因を特定するための画像検査、脳波検査、さらには生活習慣病と脳血管性認知症とが深く関係していることから血液検査も行われることが多いです。
認知症の重症度の評価方法CDR
CDRとは臨床的な認知症の重症度を評価するための評価方法の一つです。本人が診断を拒んでいるなどによって協力が得られなくても、認知症の人特有の症状を把握して評価することで、認知症がどのくらいの重症度になっているかの判断ができると言うものです。
通常は本人との面接や日常的に介護にあたっている家族などから可能な限り詳しい情報を聞き取り、記憶、見当識、判断力、社会適応性、家族状況や趣味、介護状況などの項目について健康から重度認知症までの5段階で重症度を評価します。
軽度の頃はものの置き忘れが増えたり、周囲の人間から仕事の効率の低下がわかる状態から特定の所以外は電話が出来ない、対人関係で支障をきたす、計画や段取りがうまく付けられない、物盗られ妄想が現れる、などと徐々に程度進行してゆき、最終的には同居している家族も識別できなくなり日常生活でも常に介助が必要な状況に至ると言う内容になっています。
脳の画像診断でチェック出来る事
CTやMRIなどの画像検査をすることは認知症によって起こる脳の構造の変化や脳の機能の変化を確認する、SPECT(脳の血流を確認する)、PET(脳の代謝を確認する)などが主な検査になります。
磁気共鳴画像であるMRIはCTよりもより詳細な脳の変化を読み取る事が出来るうえ、脳内の血流が悪くなっている状況も診断できるのが特徴です。MRIやCTは脳の委縮などの脳の形態的異常を見つけやすく、同時に大脳の白質病変などを見つける事も可能です。
SPECTは脳全体の血流低下などの判定に有効で、脳血管性認知症の診断には特に有効とされています。PETは脳の代謝の低下を発見することができる検査のため、脳の一部に活動が低下している部分がないかどうかを診断することができます。
認知症の種類によって典型的な症状がみられる場合には一つの検査でも見つけやすいのですが、そうした特徴のある変化が画像検査だけでは見つからない事も多く、実際に起きている症状と画像検査とを組み合わせて、さらに正確に診断することが重要だとされています。
よく行われる認知症診断テスト
認知症の診断にあたってよく使用されるテストに長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)とMMSEがあります。長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)は日本で最も多く使用される診断テストで、本人が自分の生年月日を正しく言える程度の状態であればテストを行う事が可能だと言われる方法です。
様々な質問による回答を点数化することで診断するものですが、長谷川式のテストの場合レビー小体型認知症の場合比較的高得点が出やすく、認知症であることが見逃される可能性が高いとも言われています。
もうひとつのMMSE(ミニメンタルステート検査)と呼ばれる方式は日本だけでなく国際的にもよく使用されるテストで、長谷川式と同様に記憶力などを中心にテストする内容となっていますが、長谷川式より複雑な質問が組み込まれているのが特徴です。そしてこの2種類のテスト以外にもCDR、FAST、DAD、IADLなどのテストの種類があります。
自分でできる認知症診断方法
認知症の正式な診断自体は素人ができるものではないのですが、明らかに今までよりも物忘れがひどくなったのを実感していたり、大切な約束を忘れてしまい仕事で大きな損害を出してしまうなどが起こり、周りの人だけでなく本人にもまだ意識がしっかりとした状態でかなり気になる症状が確認されるとき、周りの人間が認知症を疑って少しでも早く医療機関を受診させたいと思うものです。
けれど、一般的には本人にももしかしたら認知症を発症しているのでは…と言う不安な気持ちがあったとしても、どこかでそんなはずはないと言う否定の気持ちがあるのも無理のない事です。
でも、認知症は早期発見して早期に正しい診断を受けて病気を発見することが何よりも大切で、そして適切な治療を早期に受ける事が認知症の症状の進行を遅らせる効果がある事は確かなので、本人にもその意識があるうちに認知症診断アプリを活用すると言う方法もあります。
認知症の疑いの有無が簡単にスマートフォンなどを利用して無料で調べられるアプリが開発されており、このアプリを使えば認知症の疑いの有無を掴みやすくなると言うものです。自分や家族がもしかしたら認知症かもしれないのになかなか診察を受けようとしないと言ったもやもやした気持ちのままで過ごすのは、本人にも周りの家族にも辛いものです。
でも、逆にそういったアプリを活用すれば認知症の疑いがないと言う事も判明しやすいので、無駄な心配をせずに済むと言うメリットもあります。そして大切なことはこのアプリを使った診断はあくまでも目安として活用するものであり、実際の診断は専門の医療機関できちんと検査を受ける事につなげるということです。