認知症の薬
2017年05月16日
認知症が治るの?治療薬として開発中の新薬の種類や特徴、気になる効果が知りたい!
年齢を重ねてゆくとともに、誰にでも体や脳に老化による機能低下が訪れるのは自然な事で、現在の医学では老化を完全に防ぐことはできません。しかし、認知症を発症し、しかもその症状が年月とともに進行してゆく過程では、本人の生活の質が大きく低下してしまうことはもとより、介護にあたる家族などに大きな負担がかかるケースが多くなります。
認知症を発症するメカニズムの解明が進み、認知症の原因や治療法の研究は世界中で行われ新しい治療法や新薬が発見されており、現在開発中のものも数多くあると言われています。
現在行われている認知症治療
認知症に関する研究が進み、認知症のメカニズムの解明も進んでおり、現在では認知症患者に対して投薬などによる治療が行われています。現在行われている薬による治療には主にアセチルコリンエステラーゼ阻害薬と呼ばれる、アセチルコリンを分解する酵素の働きを抑えるタイプとNMD受容体拮抗薬と呼ばれるグルタミン酸の過剰生成を抑えるタイプがあります。
認知症は発症すると徐々にその症状が進行して日常生活に支障をきたすようになりますが、症状の進行具合やその程度には個人差があります。現在行われている認知症治療はこの症状の進行を遅らせるためのものであり、残念ながらかかってしまった認知症を完治させるものではありません。
認知症治療の新薬レンバーの特徴
アルツハイマー病などの認知症は脳の神経細胞に特殊なたんぱく質がたまる事で脳の神経細胞の一部が死滅して発症すると考えられてきました。これはいわば脳内の老廃物にあたる物質で、脳内に蓄積して神経細胞を傷つける事によって脳が委縮し、認知機能の低下などが起こると言われてきたのです。
この神経細胞にたまったタンパク質を分解することができれば脳神経細胞の死滅を予防できると言う発想で開発されたのがアルツハイマー型認知症のための新薬のレンバーです。
現在も多くの認知症患者に処方されているコリンエステラーゼ阻害薬のアリセプトは神経細胞のアセチルコリンに働きかける事で神経細胞を強くしようとするものですが、神経細胞の周辺に特殊なたんぱく質がたまれば神経細胞そのものが死滅してしまうため、神経細胞にたまったたんぱく質を分解する働きを持つレンバーを投薬することで神経細胞が死滅するのを防ぐことができます。
イギリスでは臨床実験によりその効果が認められていると言う報告がありますが、現在のところまだ日本でも認可には至っておらず、現在は認知症の症状の進行を遅らせる薬の投与が中心の治療となっています。
認知症治療薬の今後の展望
現在認知症治療として実施されているのは認知症による症状の緩和などの、いわば対症療法が中心です。しかし現在世界各国で、そしてもちろん日本でも多くの認知症治療に関する研究がおこなわれ、将来的には認知症を根本的に治療することのできる方法が見つかる日が訪れるかもしれません。
かかってしまった認知症を治すと言う方法に加え、認知症にかかるリスクを予防する治療法に関する研究も進んでおり、将来的には現在のように発症後に投与される薬ではなく、一定の年齢以上になったら認知症にかかるのを予防するために接種するワクチンが認可されることになるかもしれません。たとえば、かつて多くの人が命の危険にさらされた肺炎も、ワクチンの開発によって命を落とすリスクをおおはばに減らすことに成功しました。
これまで人類は様々な病と向き合って克服してきた歴史があるように、この新薬の研究がさらに進んでゆくことで今後数年のうちに医療現場での活用がみこまれるのではないかと言う意見もあり、世界が大きく注目していると言われています。