認知症の対応
2017年05月15日
怒るのは認知症の症状かも!イライラしたり怒りっぽくなる原因と対応方法について
昔は物静かで穏やかな性格だった人でも年齢とともにだんだんとちょっとしたことで怒りやすくなるなど性格に変化が訪れる事があります。年を取って頑固になった、人の話を聞こうとしなくなった、ちょっとしたことで切れやすくなったなど、単なる老化現象と考える前に、もしかすると軽度の認知障害の影響を疑ってみる必要があるかもしれません。
どうして認知症になると怒りっぽくなる?
毎日の生活の中では自分の思い通りにならないことなどあって当たり前だし、イラッとする事やカチンとくることなどは誰にでもたくさんありますが、だからと言っていちいち感情を爆発させることなく感情を上手にコントロールしながら生活するものです。
でも認知症になると感情のコントロールがうまくできなくなり、すぐに怒りの感情が出てしまいやすくなります。認知症の人はこれまで自分でできていたことが出来なくなったり、わからなくなってしまう不安や恐怖でちょっとしたことに敏感になり怒りっぽくなります。
特にアルツハイマー病の初期の頃には気分や人格が変わりやすくなると言われますが、これは感情や理性に関係する脳の部分が委縮することが関係していると考えられています。同じ動作を繰り返すのも特徴的な症状で、制止されると激昂するケースが多いようです。また、レビー小体認知症の人は幻覚や妄想などから暴力に繋がるケースもあります。
認知症の人の怒りへの対処法
突然怒りを爆発させ、興奮して暴言を吐くなどの症状が現れると、周囲の人間は驚いて制止しようとしたり、周りの人間も同じように興奮してしまう事もあります。でも、これは認知症によって起こっていることだと理解し、冷静に対処することが大切です。
まともに向き合おうとすると喧嘩になってしまう事もあり、何よりも家族など介護にあたる人自身が疲れてしまいます。そのため、よほど危ない事をしたり周りの人に危害を加えたりしない限りは本人が興奮していたとしても、無理に止めたりせずそっと見守るようにするのが効果的です。
本人が怒ってしまう前にできる対策をとってみる
いつも周りで介護をしている人などは認知症を発症してから何度もちょっとしたことですぐに怒る様子に遭遇するようになれば、だんだん怒りそうなタイミングが分かるようになってくるものです。そうなったら本人の怒りのスイッチが入りそうになる前に全く別の話題に変えてしまうなどの対策も効果的です。
それでも普段身の回りの世話を一手に引き受けている家族にとってはイライラが募りやすくなるのも無理のない事なので、時には介護サービスを利用して気持ちをリフレッシュすることも大切です。介護する人間が介護疲れによって疲弊しきってしまう前に、例えばデイサービスやショートステイなどを活用して自分の時間を持つように工夫することで気持ちにゆとりが生まれます。
心配な時は専門医に相談することも大切
認知症を患っていても、症状の出方やその強さは個人によって大きな差があります。それでも些細なことで機嫌が悪くなって悪態をついたり、以前には考えられないような怒り方をするようになったとしたら、認知症による易怒性と決めつけるのではなく、時には専門医を受診して相談してみる事も必要です。
もしかすると認知症による原因だけでなく全く異なる精神疾患を患っている可能性も考えられるので、どちらの病気にも対応できる医師の診察を受けて日常的な気になる症状や、介護者自身の悩みを聞いてもらうのも大切な事です。
介護される側も介護する側もたとえ血のつながった親子であっても相手は人間なのですから機械のように確実な対処法はありません。それでも誰かに自分の話を聞いてもらうだけでも気持ちが軽くなると言う人は少なくありません。